穏やかな語り口が人気の経済評論家・加谷珪一氏が、ニコニコと「将来は消費税増税では?」とテレビで語っていた。有権者が高市総理に手渡した白紙委任状は、消費税12%だというのだ。玉木雄一郎・国民民主党代表のX投稿も、これを裏付ける。有権者は、またいつもの手口に騙されようとしている。
加谷珪一氏はTBSの『ひるおび』に出演し、次のように語った。実は選挙期間中にも同様の指摘をしていたが、あまり注目されてこなかった。
そのうえで、「今回の選挙期間中に自民党の候補者が討論会で、給付付き税額控除を導入したら将来消費税は12%になるかもしれないと口を滑らせてしまい、話題になった。自民党は全否定しているが、専門家の立場から言えば(給付付き税額控除が導入された場合は)何らかの増税があるんじゃないかと見る人は多い」と話した。
消費税減税の後、高市首相がやりたい「給付付き税額控除」の財源は? やはり何らかの増税があるのか(JCASTニュース)
加谷珪一氏の発言を理解するためには、まず経緯を知る必要がある。
過去に財務省によって消費税増税に追い込まれた野田佳彦氏は、次第に党内の消費税減税派に押されていった。辻褄を合わせるために「将来は給付付き税額控除を実施する」と主張し、消費税減税はあくまでも暫定措置であるとして、立場を修正した。
その後、石破おろしに遭った石破茂氏は立憲民主党と接近し、「協議体」設立に向けて動いたが、退陣要求をかわすことはできなかった。ただし、協議体自体は設置された。
実際に協議が始まったのは11月に入ってからである。高市総理が何らかの理由で解散を決意する前、2025年11月20日のことだ。
高市総理は、使う側の議論(経済成長)については決して公開しない一方、負担に関する議論については責任を分担させたいと考えており、「渡りに船」とばかりに国民会議の開催を呼びかけている。
しかし、ここまでの議論から、直ちに増税につながるとは読み解けない。そこで登場するのが玉木雄一郎氏である。彼は三つの主張をしている。
まず、負担増議論の共犯になることを恐れ、「まずは自民党で骨子を出せ」と求めている。次に、「財源議論がまとまらなかったから減税できなかった」と言い訳するな、と釘を刺している。
最後に、議論を社会保障費の軽減へとシフトさせようとしている。もともと消費税は社会保障費の財源とされているため、社会保障費の議論と消費税の議論は本来両立しない。玉木氏はおそらくそれを理解しているだろう。そのうえで、「支持者向けのポジション」を確保するために、あえて社会保障費軽減を主張している。
やたらと社会保障費についてXでリプライを付けていることからも、イメージ戦略であることがうかがえる。
日本の政治には、一定のサイクルがある。小泉政権、民主党政権、安倍政権はいずれも同じ構造を持っている。
- まず将来の夢を語るか、既得権の打破を訴える
- 選挙で大勝する
- 分かりにくい形で改革を掲げつつ、負担増を混ぜ込む。
- やがて負担増が前面に出る。
- 小泉・安倍は逃げ切った
- そもそも野田は逃げ遅れた
- 逃げ切った政権の後には、短命政権が続く。
結果として、「夢を売り、緊縮で終わる」のである。
ここから予想される未来は二つある。
一つ目は「小泉・安倍型」だ。高市総理が夢を語りつつ、最後まで逃げ切るケースである。小泉政権は5年5か月、安倍政権は7年8か月続いた。
もう一つは「野田型」だ。矛盾を処理できず、逃げ遅れるパターンである。民主党政権は、勝ちすぎた反動で崩壊した。
今回、勝ちすぎた高市政権が逃げ切れるのか、それとも逃げ遅れるのかは、まだ分からない。消費税減税ができない原因を国民会議に押し付けることができれば、逃げ切れる可能性もある。
しかし、その場合でも、国民は結局負担増を押し付けられ、後継政権には悲惨な未来が待つことになる。
一方で、最初から国民会議に負担増の議論を丸投げしようとしている点を見ると、高市政権には選挙後の明確なビジョンが存在しない可能性も高い。
いずれにせよ、これほど分かりやすいパターンがあるにもかかわらず、またしても「負担増の白紙委任状」を手渡してしまった国民・有権者は、かなりおめでたいと言わざるを得ない。

コメントを残す