日本の戦後体制は2つの基盤の上に成り立っている。それが国連と日米同盟だ。アメリカとヨーロッパが主導してできた国際法に則って国際社会に復帰し経済復興を成し遂げた。憲法と日米安保の間には亀裂があるが独特の「職人芸」で乗り切ってきた。この基盤が崩壊しつつある。与党だけでなく野党も対応できていないという点に特徴がある。
高市総理はアメリカの軍事攻撃に対して法的評価をしなかった。これは事実上「日本は正当な評価ができない」と考えていることを意味するが、ルビオ発言を見ればそもそもアメリカ国務省すら認定できないものを外交的定見がない高市総理に正当化できるはずはない。
このため木原官房長官は「限定的集団的自衛権の行使」については総合的に判断をすると繰り返している。そもそも基盤が崩れているので、その上に立った行使容認について言及できるはずもない。そもそも「限定的集団的自衛権」などという概念は国際的には成り立たない。これは日本がアメリカとの地域限定・集団的自衛を専守防衛と言い換えてきた経緯を破綻させないために職人芸的に日本が編み出した「芸」にすぎない。
実は野党も与党に対向する理論構築がない。代替提案がないという点では深刻だが、我が国はこの制約のもとでなんとか今回の危機に対処するしかないのが実情だ。
結果的に「悠長に予算審議などしている場合ではない」ということになっており参議院での審議を十分に行わずに年度内に予算が成立する可能性が出てきた。しかし仮に戦争が長引けば「補正予算が必要だ」という声が出てくるだろう。
- 与党、公聴会開催を議決 予算案「13日衆院通過」方針(時事通信)
- マクロスコープ:予算年度内成立に現実味、参院自民にも「進むしかない」の声(REUTERS)
- エネルギー価格の変動、物価への影響注視 補正「ゼロではない」=イラン情勢で高市首相(REUTERS)
さらに高市政権の成長戦略にも暗い影が落ちている。防衛装備品は「いざという時の備え」であるから海外に輸出しても構わないという枠組みだったが、実際に戦争に使われる可能性が出てきた。そもそも安全保障の基盤が崩れているので、何をどう判断していいかわからなくなりつつあるようだ。
アングル:中東情勢が安保3文書改定に影響も、米軍の関与低下懸念 与党が推移注視(REUTERS)
高市総理は「トランプ大統領と率直に話し合う」と言っているが、そもそも高市総理に外交スキルはない上に(だからこそ率直にと精神論でアプローチしている)心理的に動揺しているトランプ大統領はもはや冷静に話し合いができる対象ではない。
高市首相、トランプ大統領と「イラン問題についても率直に話す」 今月の訪米時に(REUTERS)
巻き込まれず、怒らせずに帰って来ることができさえすれば「大成功だった」という評価になりそうだ。まさに地雷原に自ら突っ込んでゆくような危険な訪米になるかもしれない。失敗すれば大惨事だろうが、それでも決まっている会議をスキップするわけには行かない。高市総理の政治的延命のための会議はかなりの高コストになるかもしれない。
今回の軍事作戦は全体像を掴もうとするとかなり骨の折れる作業になる。短いセクションに分割し「興味がある部分だけ」を読んでもらえれば良い構成にしている。

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