好事魔多しという言葉がある。このところすっかり永田町の中心人物だった吉村洋文大阪府知事はすっかり永田町に染まってしまったようだ。大阪都構想を再び持ち出して維新内部から反発されている。
病名をつけるとすれば永田町政局熱シンドロームである。
維新の吉村洋文代表が出直し選挙を決断した。この話を聞いたときには「大阪都構想を支援する人は未だに多いんだなあ」と思ったのだがどうやら勘違いだったようだ。
まずこの構想は国会議員団に反発された。賛成者は4人しかいなかったそうだ。
また、国政政党・日本維新の会所属の国会議員も同日、衆参の両院議員総会を国会内で開いた。関係者によると、「出直し選は何の意味もない」「トップの独断でそのままいくのは、政党としてあってはならない」といった批判が相次いだ。総会に出席した日本維新の馬場伸幸・前代表は、出直し選の是非を問う採決をするよう2回も求めた。総会では採決が実際に行われ、反対が26人に上り、賛成は4人しかいなかったという。
【詳報】大阪ダブル選、吉村氏が表明 「意味ない」維新議員から批判(朝日新聞)
しかし大阪都構想は厳密には「大阪マター」なので吉村知事は国会議員の意見を聞かないことにした。
吉村氏は同日夜、維新の全体会議で、出直し選について説明。その後の会見で、「都構想に挑戦することが、大阪の未来、成長のために必要と判断した」と表明した。全体会議では議員らの反対の声もあがったが、「承認事項でないので多数決は取っていない」と述べた。
【詳報】大阪ダブル選、吉村氏が表明 「意味ない」維新議員から批判(朝日新聞)
そうは言ってもこの構想は国会議員が反対しても大阪で熱烈に受け入れられているのではないか。
実はそうではないようだ。一旦撤回しているため市議団からは「支援者に説明ができない」と難色を示された。しかし、話せば分かるとばかりに彼らの意見も聞かなかった。
吉村氏「大阪市議会でもさまざまな意見があり、市議団では否定的な決議がされた。これは事実として伝えておく。もちろんこれは議会の考えがある。知事・市長として出直し、都構想の設計図をつくらせてもらいたいということを訴えていく。
ダブル選に所属議員が猛反発し遅れた会見 吉村知事「都構想、再挑戦認めていただきたい」(産経新聞)
つまり、一部を除いて誰も賛成していないようなのだ。そもそも「選挙事務そのものが行えない」と危惧する市長もいる。2月8日の選挙で手一杯なのに大阪市長選挙、府知事選挙までやっていられないというのである。
さらに、メディア向けに維新のスポークスパーソンの役割を果たしている創業者の橋下徹氏も「説明ができない」と頭を抱えている。内閣に大臣を送り出しているわけでもないうえに選挙区調整もせず共通名簿も作らない。これででは連立の意味がない。確かにそのとおりだ。
ここで「大阪都構想の是非」を議論するつもりはない。しかしながら、独断専行で突っ走る高市総理は周囲にも独特の病気を空気感染させている。
周辺報道から判断すると今井尚哉氏に代表される経産省組は財務省との対立から「既成事実を作らなければ現状を突破できない」と考えた可能性がある。だが高市総理と直接話ができる中でもないようだ。麻生・鈴木・萩生田氏も国民民主党との連携に動いたが最後には排除された。つまり、高市総理のまわりには様々な利害が異なる人達が群がっており「少しでもプレゼンスを高めよう」とバラバラに活動している。
本人は冷静なつもりかもしれないがおそらく吉村洋文氏もこの熱にやられてしまったのではないか。
しかしこの渦に触れた人たちはまわりが見えなくなり「あの人は変わってしまった」「初心を忘れておかしくなった」と見られてしまう。
本来は永田町政治を遠くから見てるからこそ冷静な視点を持つことができていた吉村洋文氏が我を忘れた状態になっている。だから人は「東京は怖いところだ」というのだろう。

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