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口約束は危険 ウィトコフ大使が「お使い」に失敗

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ひょっとしてトランプ大統領なら事態を打開してくれるのではないか。読者の中にもそう期待した人がいるかも知れない。だがトランプ大統領は期待を裏切らない。最初からロシアの要望を正しく理解できていなかった可能性が出てきた。ウィトコフ特使は「お使い」に失敗したのだ。

現在、ウクライナ和平交渉はトランプ大統領を引き付けておくゲームになっている。これを起点にしないと関係各位の言い分が理解できない。

そもそもNATOはダメだがNATOのような組織は良いという理屈は誰も理解していなかった。NATOみたいなものが良いならわざわざ新しい組織を作る必要はない。

ヨーロッパの人たちはおそらくこの曖昧さを理解していたと思うのだが、トランプ大統領を状況に惹きつけておく必要がありルビオ国務長官をお神輿に乗せて安全保障体制の協議を始めた。日本も関与するものと見られている。

BBCの分析によると、1000キロの前線に対して実効性のある安全保障体制は作られないだろうと見られている。トランプ大統領は「ものすごいミサイル防衛システム」を作ればなんとかなるだろうと見ているようだが、山岳障壁や海がない長い国境線を持つヨーロッパの地勢をまるっきり無視している。

安全保障協議が始まるとラブロフ外務大臣が「真意」を説明し始めた。

NATOとNATOのような組織の違いは「ロシアが参加するか」なのだそうだ。ヨーロッパはロシアが攻めてくる前提で新しい組織を作ろうとしているのだから当然これが受け入れられるはずはない。

Bloombergはロシアがゴールポストをずらしたのか最初からボタンのかけちがいがあったのかについては断定していない。受け入れられない要求を突きつけて相手にノーと言わせているだけなのかもしれない。

ラブロフ氏は21日にもロシア側の要求を改めて主張。ロシアは2022年の侵攻直後にイスタンブールで行われた協議で、ウクライナが提案した安全保証の構想を支持していたと述べた。同構想では、国連安全保障理事会の常任理事国である米国、ロシア、中国、英国、フランスの5カ国が保証国として関与する内容だとしている。

ウクライナ「安全の保証」に暗雲、ロシアが関与要求-認識のズレ露呈(Bloomberg)

ウクライナは当然ロシアと中国が入る枠組みには反対しており二者会談・三者会談が開かれたとしてもおそらく何も結論は得れないだろう。本音では会談などしたくないがトランプ大統領に対してノーと言わないゲームが進行しているため「ハンガリーは嫌だ」と条件にケチを付けている。今回の問題でゼレンスキー大統領を一方的な被害者だと言えればいいのだが、この人もまた事態を複雑にさせている張本人の一人だ。

結局のところ戦争は終わらずトランプ大統領の袖口をヨーロッパとロシアが引っ張り合うという状況になっている。ロシアは今もウクライナを攻撃し続けている。

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