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公明党が連立政権離脱:無責任時代の始まり

10〜15分

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すでに速報でお伝えした通り、公明党が連立関係を博しにすると一方的に通告した。その後自民党が本気になり政治とカネの問題について再度協議を始めるのではないかと思っていたがそのようなニュースはなかった。

人々の関心は「この先どうなるのか」なのだろうが答えはなくメディアも動揺しているようだ。そんな中、当ブログでは過去に書いた「過半数を取れる政党がない場合どうなるのか」という記事に関心が集まっていた。なにか「答えが書いてあるのではないか」と考えた人が多かったのかもしれない。

公明党と自民党との関係が破綻したため連立調整が不要になった。首班指名国会は20日に行われるそうだ。

今回読まれた記事は2024年衆議院選挙の直前に書かれたもの。当時、どの政党も過半数が取れないという事態は想定されていなかった。

情勢調査の結果「自民党敗戦濃厚」という観測が高まってゆくのだが、メディアでも過半数を取れる政党がない場合には総理大臣が選べないのではないかという議論が見られた。つまり日本の戦後史にはそのような状態がなかったのだ。その後情報が整理されて「どうやら上位2名の決選投票という規則があるらしい」と知られるようになってきたのである。

この記事は単独で読まれている。この先どうなるんだろうという不安があり記事を読んでみたがよくわからないという人が多かったのではないかと思う。とはいえそれ以上調べる気にはなれないという程度の関心の人が多いのではないか。不安は会って調べては見るんだろうが、所詮政治は他人事である。きっと誰かがなんとかするんだろうと思われている。

実際に記事を読み返してみたが「責任は取らずその場その場でディールを引き出したほうが美味しい状況が生まれつつある」などと書いている。そして、実際にそんな状況が生まれつつある。

メディアは動揺しているようだ。時事通信が「自民党は政治安定のために手を尽くすべきだ」と書いている。

前代未聞の状況下に置かれ、おそらく人々の中に「このまま何も決められなくなる」のではないかという不安が芽生えているのだろう。実際にフランスの政治がそのような状況に陥っている。誰も首班は取れないが、政党が団結すれば内閣不信任案は出せるという「不信任の無限ループ」状態だ。

公明党は自民党と別れたからといって自民党の敵対勢力になるわけではないと主張している。これまでは自民党が推薦する候補を無条件で支援せざるを得なかったが今後は自分たちのトクになる候補だけを支援できるようになる。ただし献金規制に関してだけは野党と協力しても良いという立場。これが他の野党に対しては一種の踏み絵となる。

よく日本の政治は多党時代に入ったと言われるがフランス型の脳死状態には陥っていない。厳密には「ピボット時代に入った」と表現すべきだ。

自民党・立憲民主党という大きな2つの政党がある。彼らは公明党、国民民主党、維新に「値踏み」をされる存在である。一定の塊を持った少数政党はその時々でポジションをピボットし「美味しいところだけ」をつまみ食いする。

公明党のピボット化の背景には国民民主党と維新の躍進があるものと見られる。どちらの政党も「是々非々」で自民党と政策協議を行った結果、無党派層の支持を得ている。国全体の財源問題などは自民党に丸投げし自分たちは成果だけを持ち去るというスタイルを実現するためには2つの大きな政党との連携を「その場その場で決める」ピボットがふさわしい。

政治を他人事と考える有権者とピボット政治の蔓延を背景にして、水面下の属人的な人間関係で結びついていた26年の与党連立はあっけなく破綻した。

高市新総裁が自民党に「公明党からのリクエストに応えるように」と指示を出したという報道はない。一方的に通告されて驚いていると反応するのみ。これに対して公明党は一週間前から言っていたと反論している。妻から三行半(離縁状)を突きつけられた夫が「離婚の兆候に全く気が付かなかった」と嘆くのと同じ状況だ。

菅義偉氏が公明党・創価学会に働きかけをしたという報道もない。また石破茂総理は「戦後80年のなにか」を発表。自身の研究成果を披露し上機嫌で90分も記者の質問に答えたそうだ。このときに公明党との関係について聞かれ「私は総裁じゃないから知らない」と答えている。自分たちを躍起になって追い出そうとした選挙に弱い自民党議員たちに対して「いい気味だ」と思っているのかもしれない。

結果的に誰も財源などの責任問題に触れたくないという「無責任体制」が生まれつつあり、総理大臣までもが「今の政治状況について答えるつもりはない」と言っている。

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