ニューヨーク市長選挙、ニュージャージー州・バージニア州知事選挙が行われ、いずれも民主党の候補が勝利した。ニューヨーク新市長のマムダニ氏は早速トランプ大統領を挑発している。一方でトランプ大統領は「自分の名前が書いてあったわけじゃない」と釈明した。つまり自分が負けたわけではないから問題がないというわけだ。しかし、共和党上院議員との朝食会はお通夜状態だったようだ。
ニューヨーク市長選挙では社会民主主義者でイスラム教徒のマムダニ氏が勝利した。しかし投票に参加したのは200万人程度だったそうだ。これでも1969年以来の高い投票率だったとされており、意外と選挙に行く人が少ない事がわかる。
マムダニ氏は早速トランプ大統領を挑発している。移民摘発を進めるトランプ氏に対する怒りもマムダニ氏には追い風になったようだ。
続けてカメラに向かって「なのでドナルド・トランプ、これを見ているのは知っているので、あなたには四つの単語を言いたい。Turn the volume up!(音量を上げろ)」と、ニューヨーク出身のトランプ大統領に向かって言い、ニューヨークは移民の街で今後は移民が先頭に立つ街になると強調した。
マムダニ氏がNY次期市長当確、 「音量を上げろ」とトランプ氏に NYは「移民の街」と強調(BBC)
しかしながらニュージャージー州・バージニア州知事選挙で勝利したのは穏健派だった。
CNNは冷静に「有権者はバイデン時代から続くインフレに疲れているのだろうと分析している。
トランプ大統領はバイデン政権を批判する文脈ではインフレ対策を打ち出すが、実際の政策は富裕層優遇でむしろインフレを助長している。ただ企業が「自由に」儲けることができるから株価が上がりアメリカの経済が好調であると考えると、実はインフレを容認する政策を推進する大統領とも言えるだろう。
トランプ大統領がわかっていてインフレを容認しているのかが気になるがどうも自分が何をやろうとしているかは理解していないようだ。単に選挙=自分に対する信任と短絡的に考え「褒められそうな」政策を積み重ねている。
このためニューヨーク市長選挙では勝ち目のない共和党候補を応援せず、民主党の代表選挙に敗れたクオモ氏を支援した。ニュージャージー州の選挙は僅差だったため共和党の候補を支援している。勝てる候補を支援して成果が得られば「自分に対する信任だ」と主張するつもりだったのだろう。
トランプ大統領はわざわざ選挙の次の日に共和党上院議員たちとの朝食会をセッティングし、勝利すれば自分の成果を強調するつもりだったのだろう。しかし望みを達成することはできなかった。AXIOSによれば朝食会はお通夜状態だったそうだ。
選挙を「極めて個人的に」受け止める大統領はかなり頑なになっており「民主党に対する妥協を拒否する」としている。このためますますフィリバスター廃止論に傾いている。ただし上院共和党は多数派を民主党に奪還された時のことを考えてフィリバスター廃止には踏み切れないようだ。
今回の事例から、トランプ大統領が比較的穏やかなのは勝ち続けているからだと言うことがわかった。現在最高裁判所で関税についての審議が行われている。大統領権限の行使に懐疑的な判事が多いと言われているが「否定された後のトランプ大統領が内外にたいして何をしでかすかわからない」という恐ろしさがある。
