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一般教書演説を前にした内外の大きな変化

7〜10分

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ドナルド・トランプ大統領の一般教書演説が2月24日に予定されている。その直前、国内外で二つの大きな変化が起きている。

慣例的に政治的発言を避けてきたバラク・オバマ元大統領が重い口を開き、トランプ政権を「道化師のショー」と批判した。また、マルコ・ルビオ国務長官はミュンヘンで、「ヨーロッパとアメリカ合衆国は不可分である」と訴えている。

まず、国内の変化について触れたい。現在の民主党の弱点は、「全体を統合する存在」の不在である。国が供給力や産業基盤を再整備すべきだと考える勢力と、より社会主義的な制度の導入を主張する勢力が拮抗している。両者が主導権争いを繰り広げる中で、党全体の精神的支柱が失われてきた。

本来、元大統領は現職政治に過度に関与しないとされている。実際、オバマ氏が党の実務や選挙活動で中心的役割を担う可能性は低いだろう。しかし、ビル・クリントン・ヒラリー・クリントン夫妻はエプスタイン問題に翻弄され、ジョー・バイデン前大統領も健康問題を抱えている。

こうした状況の中で、スキャンダルと距離を保ってきたオバマ氏が、象徴的存在として「道徳の復活」を訴える意味は大きい。実務から離れ、問題とも無縁であったことが最大の強みになっているというのは、考えてみれば皮肉な話である。

一方、ミュンヘンではルビオ国務長官が米欧関係の重要性を強調した。前回同地で強い印象を残したのは、J・D・バンス副大統領である。彼はヨーロッパのエスタブリッシュメントを厳しく批判し、対立姿勢を鮮明にしていた。

結果的にヨーロッパは少なくとも経済的には中国への接近傾向を強めつつある良いに見える。その原因をすべてバンス副大統領に求めることはできないが、少なくともバンス副大統領を下げてルビオ国務長官を送ったことで「ヨーロッパとの間に関係修復の意欲がある」という一定のメッセージの変化を伝えることには成功した。

もともと、ルビオ国務長官ら対外強硬派は中国の覇権国家化を警戒しており、議会の超党派から一定の支持を得ている。既存政治を代表するルビオ氏は、こうした総意を背景に欧中接近を食い止めたいのだろう。

では、この二つの変化は、アメリカ合衆国の政治を大きく変えていくのだろうか。

その鍵を握るのが、トランプ大統領の一般教書演説である。

仮にトランプ大統領が経済を最優先課題として掲げ、具体的な改善策を提示するならば、中間選挙に向けた選挙キャンペーンの立て直しに一定程度の期待が持てる。しかし、具体策に乏しい政策論と自慢話が延々と続く内容になれば、中間層は深い疑念を抱き、道化政治からの脱却――すなわち威厳と道徳の復活を訴えるオバマ氏の象徴としての存在感が増すことになる。一般教書演説はメッセージに過ぎないため実証が伴わない限りプラスの効果は限定的であるが、失敗したときのインパクトが大きい。

また、ルビオ氏の主張に沿って、トランプ大統領がヨーロッパとの関係修復を訴えれば、欧州は再び米国との協力関係の再構築を模索するだろう。しかし、BBCが「精神的支柱として影響力を強めている」と指摘するスティーブン・ミラー氏らの価値観が色濃く反映されれば、ヨーロッパの中国接近はさらに加速する可能性が高い。

いずれにせよ、トランプ大統領がどのような一般教書演説を行うのかは、最後の最後まで予測が難しい。連邦政府の部分閉鎖が続き、先行きが不透明な中で、民主党や欧州エスタブリッシュメント批判に終始する演説となり、事態はいよいよ深刻化するだろう。

トランプ大統領が中間選挙を立て直すためには、一般教書演説で(最低限)市場や同盟国を刺激しない無難なメッセージを選択し、なおかつそれを裏づける経済政策を着実に実行する必要がある。一方で、メッセージングの段階で失敗すれば、象徴としてのオバマ氏を際立たせ、欧州との信頼関係を損ない、協力も得られなくなる可能性がある。

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