アメリカ合衆国ではロシアとウクライナの代表者がそれぞれ和平交渉を行っている。一方でモスクワでは車両爆発事故がありロシア軍幹部が死亡した。またその後双方が夜間にエネルギー施設を攻撃し合う状況になっている。
トランプ政権はロシアの特使とウクライナの特使をそれぞれマイアミに呼び個別で会談を繰り返している。イェルマーク大統領府長官の退任のあとで会合の滞りが懸念されていた。会談は「生産的」と評価されたがこれはアメリカが交渉を打ち切っていないということを意味しているに過ぎない。つまり進展は全く見られなかった。
アメリカ合衆国は「ウクライナ和平をトランプ大統領が成し遂げた」と主張したいため、却って支援から離れられないというジレンマに直面している。
和平交渉の背後では戦闘が激化している。ウクライナ側がモスクワでロシア軍幹部を殺害したと見られる。ウクライナ側は犯行声明を出しておらずロシアも背後に居る勢力を特定していない。
その後、ロシア軍はウクライナ南部のオデーサ州の港湾を攻撃。数万人規模の停電が発生している。ウクライナ側もロシアの石油ターミナルを夜間攻撃している。
つまり、アメリカの仲介は却って双方の攻撃を激化させている側面があると評価できるだろう。
トルコは、黒海・地中海・世界市場の通路になっている。つまりロシアがウクライナの船舶を攻撃すると「ボスポラス・ダーダネルス海峡管理者」としてのトルコの地位は危うくなる。一方で長い間EUから排除されてきたトルコはウクライナ戦争が長引けば長引くほどNATOでの地位が揺るぎないものになるという事情がある。このためロシアのウクライナ攻撃は認めつつ、被害がトルコに及ばないように「エネルギーや港湾施設を攻撃しないと宣言してはどうか」と言っている。
これらの事情が積み重なり結果的に誰もウクライナの戦争を止めることができなくなっている。
更にロシアは戦争が続くならば「他の地域に戦争が拡大すればアメリカが二正面作戦に追い込まれる」という動機をもつ。アメリカ合衆国とベネズエラの間にはすでに海域封鎖が起きているが同じことは台湾でも起こりかねない。
さらにイスラエルも再びイラン攻撃を計画していると言われており「平時でないなにか」に突入したことは明らかだ。
- 「非宣言型恒常紛争時代」
- 「戦争が名詞でなく動詞になった時代」
としている。
我々がいつこの状態に入ったのかはよくわからないが「とにかく気がついたら始まりもなくしたがって終わりを宣言することができない」時代に突入してしまっている。トランプ大統領は懐にあるリストを読み上げて「自分がいくつの戦争を集結させたのか」を説明したが、そのことがもはや「単一の戦争がなく、トランプ大統領が戦争終結を通じてノーベル平和賞を取ることがない」ことを物語っている。トランプ大統領が目についた戦争(一つひとつは止めることができるがかといって全体像は何も変わらない)が定着しているのである。

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