9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


ヘグセス国防長官の秘密集会の内容は将軍たちへの説教

8〜12分

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ヘグセス国防長官が突然全世界に集まる将軍たちを本国に呼びつけた。かねてより上層部が多すぎると主張してきたため「将軍たちのイカゲームでもはじまるのでは?」と期待されていたがどうやら内容はお説教になりそうだ。サラリーマンには夢の瞬間かもしれないが、アメリカ合衆国の軍隊の士気には大きく影響するだろう。あからさまな力を顕示するトップのために死んでもいいと考える人はそれほど多くないはずだ。

このニュースを見て「喜んでいる国は多いだろうな」と感じた。戦争の最終局面において軍隊の力の源は兵士の忠誠心の有無である。持続的な戦争は無理でも局所的な小競り合いに勝利すれば世界中が驚くだろう。覇権国家の終わりは意外とあっけなく始まる。

ヘグセス国防長官はかつて現場で歩兵を率いていたことがある。このときに「上層部は何もわかっていない」というラインマネージャにありがちな敵意を抱くようになったそうだ。

AIに質問しつつ調査したところ次のような記事も見つかった。第二次世界大戦のときには7人だった四つ星将軍が今では44人もいるとしたうえで、戦場での勝利と軍隊の規模には反比例関係があるとしている。

The announcement was not surprising, given Hegseth has been outspoken about the topic. During his confirmation hearing in January, he told lawmakers that the U.S. helped win World War II with seven four-star generals while “today we have 44 four-star generals.” 

“There is an inverse relationship between the size of staffs and victory on the battlefield. We do not need more bureaucracy at the top. We need more warfighters empowered at the bottom,” he told lawmakers.

Hegseth sparks fears as he moves to ax generals(the Hill)

日本の企業でも重役は何もわかっていない!といらだちを募らせる係長や課長は多いだろう。一度は重役会の上に立ち幹部たちに説教をしてやりたいと考えても不思議ではない。その意味ではヘグセス国防長官はサラリーマンの夢を叶えた存在といえる。

ABCとCNNの報道を総合するとスピーチは30分ほどの長さになる。しかしながらビデオ通話の参加などは許さずヘグセス国防長官の前に将軍たちがズラッと並ぶ絵を作りたいようだ。つまり「誰がトップなのか」を内外に誇示する狙いがあるものと見られる。

トランプ政権の支持者は自分たちが選んだ代表が「偉そうな」軍人たちを屈服させる絵に満足するだろう。CNNはヘグセス国防長官はこの様子をホワイトハウスを通じて世界中に広めたいと考えているとしている。

だが、夢の代償は大きい。

呼びつけられた側には深い恨みが残るはずである。表向きは忠誠を誓うかもしれないが、何らかの有事が発生し「とっさの判断」が求められた場合に彼らがどう行動するかは興味深い。

加えて心配されるのが情報漏洩である。

国防総省は「国防総省が発表していない内容は必ず確認を取ってから報じるように」とのお触れを出している。事実上の報道規制だが、これはすでにアメリカ合衆国軍隊の内部に政権に対して快く感じていない人が増えていることを示唆している。

トランプ政権内でアメリカ合衆国軍の士気はおそらく落ちている。ただ何らかの有事が起きるまでは内部に広がる亀裂が露見することはないものと考えられる。裏返せばちょっとした小競り合いでの敗北によって亀裂が一気に表面化する可能性があるということになる。心理的・軍事的にアメリカに依存する日本にとっては心配な動きである。