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ビジネスエセ保守に負けるな 小泉進次郎陣営が炎上

8〜11分

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退屈だった総裁選挙がようやく面白くなってきた。と同時にネット保守は今回の総裁選挙で大きな役割を果たさないだろうという当ブログの主張は外れるかもしれない。

安全運転を心がけていた小泉進次郎陣営が意外なところで炎上している。出火元は牧島かれん議員。ニコニコ動画でステマコメントを募ったそうだ。テンプレの中には「ビジネス保守に負けるな」というフレーズも含まれていたそうだ。候補者本人でなく支持者をディスってどうするつもりだったのだろう。

ただしこの動きは長期的に見れば日本の政治言論に大きな禍根を残しかねない。

まだ総理大臣になっていない小泉進次郎氏に一足早いご祝儀があった。それが文春砲である。ニコニコ動画でステマコメントを募ったとされている。記事を読んでほしい文春は内容を書いていないが、共同通信がやや営業妨害的にネタバレをしている。なお文中の小林氏は小林鷹之氏ではなく小林史明氏だ。

報道では、「ビジネスエセ保守に負けるな」という文例もあったとした。小林氏は「(総裁選候補で保守派の)高市早苗前経済安全保障担当相を批判したという意味では全くないと牧島氏も言っている」と語った。

小泉氏陣営、称賛投稿を要請 文春報道、事実関係認める(共同通信)

分析のために自己開示すると「部外者」としてつまらなさを感じていた総裁選が「俄然面白くなってきた」という印象がある。

なぜこの自己分析が重要なのか。

これまでネット保守と言われる人たちの気持ちがよくわからなかった。そのため自己主張ができない人たちが女性・障害者・外国人排除に目を向けているのだろうなどと解釈していた。核にいる人達の動機は「ビジネス」かもしれないが、その周辺には権利主張できない人たちがいるという構造理解である。

しかしその外側にはまたそれとは違う人達がいる。日本人はジブンゴトとタニンゴトを明確に区別している。おそらく今回の総裁選がつまらないのは所詮タニンゴトだからだろう。

ジブンゴトとしての政治に着目しているのが田崎史郎氏だ。今回は明らかに小泉進次郎氏支援の動きを作ろうとしている。

情勢が曖昧な中で「長老は小泉進次郎氏支援に傾いている」という情勢を伝えることで「大勢は小泉支持に傾きつつある」と伝えている。麻生太郎氏は小泉進次郎氏が一皮むけたと再評価し、岸田文雄氏も林芳正人陣営に足をかけつつ心情的には小泉進次郎氏支持に傾きつつあると言っている。

ジブンゴトとして政治を捉えている人はイデオロギーではなく誰について行くのがトクなのかを考える。

しかしながら、その外には「所詮政治は自分たちには関係がない」と考える人達が増えている。彼らは「なにか面白おかしい話題」を求めている。先日「リベラルのエース」が実は裏で不倫していたというのもそんな消費しやすい話題。今回の文春砲もXでトレンド入りしているが、特に政治に関心がない人も消費しやすい話題に仕上がっている。ネットの反発を受けて小泉さんが失速してゆくことがあればそれが楽しいという程度の関心だ。

牧島かれん氏の失敗の本質はどこにあるのか。それは候補者の人格攻撃ではなく、支持者への人格攻撃になっているという点。支持者は所詮ビジネスを盛り上げたくて高市さんを支援しているだけしょうといっている。これ以上アンチを増やしてどうするのかと思うが、自民党を支持する人よりもアンチのほうが多いということを忘れてしまったのだろう。

なぜこれが危険な動きなのか。

当ブログではSNSの人々は「勝ちにこだわる」と分析してきた。本来は戦前の大衆が陸軍の中国大陸進出を支援したことなどを引き合いに「日本人は」と言いたいところ。しかし、アメリカ合衆国でも同じように勝利にこだわる人たちが大勢いる。

彼らはJICAのホームタウン構想を廃止に追い込むという成功体験を得た。勝てば官軍という言葉があるが、こうなるとコラムニストも「ホームタウン構想は満州に似ている」などと書きやすくなる。

つまり今回の総裁選は田崎史郎氏に代表されるインサイダーのメリットではなく、部外者のキャンセル運動によって左右される可能性が出てきたということになる。マスメディアが視聴者を締め出していたせいもあり問題解決型の政治ではなく妨害型の政治が生まれつつある。

今後、この日本型キャンセルカルチャーがどの程度広がるかに注目が集まる。