人々は当時のドイツ人がなぜ過激なユダヤ人排斥運動が国民から熱烈に支持されたのかを知りたがっている。ヒトラーは武力闘争で民主主義を抑圧したのではなく議会から権限を委譲されて「民主的」に独裁者となった。このたびヒトラーのDNA解析結果が発表され、ヒトラーが性的に未成熟だった可能性が高いと示された。記事はあくまでも好戦的性格を説明・正当化するものではないと書いているが、おそらくこの2つを結びつける人も多いだろう。
記事はイギリスのドキュメンタリー番組の内容を紹介している。ヒトラーはカルマン症候群だった可能性が高いのだという。聞き慣れない症候群だ。また、他にも精神異常を引き起こす因子が確認されたという。
ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの血液を使って遺伝子検査を実施した結果、停留精巣や小陰茎症などの症状が現れる遺伝性疾患、カルマン症候群だった可能性が極めて高いことが分かった。研究者とドキュメンタリー番組の制作者たちが13日、明らかにした。
ヒトラーのDNA検査、遺伝性疾患の可能性大 「ユダヤ人の血」は否定(AFP)
カルマン症候群やその他の症状を持っている人々への風評被害を避けるためなのだろう症状がヒトラーの好戦的性格や人種差別政策を説明・正当化するものではないと強調(記事に漢字変換ミスがあったので内容を修正している)しているそうだが、仮に関係がないとすると、単に死者が生前隠したかったコンプレックスをわざわざ墓を暴いて公開する事になってしまう。
つまり人間的なコンプレックスを解消するための心理的補償が当時の病んだドイツ社会の世論と呼応することで大きく共鳴したという説明になってしまいそうである。そして当時の民主主義はそれを押し返すことはできなかった。
番組はヒトラーがユダヤ系であるかどうかも検証したそうだがこちらは父系が同じ血縁者との関係が確認されたことから「明確に否定された」ことになっている。
なお今回の検査結果はまだ科学的には証明されていない。著名な雑誌には論文を提出済みであり、今後科学的な検証が行われることになるであろうとCNNが書いている。
