バイデン政権末期の大統領はかなり認知能力が衰えていたようだ。Axiosが音声データを公開しYouTubeにアップした。逆に「よく土壇場まで隠せたな」と感心するほどの衰えぶりで「大統領がいなくてもなんとか政府運営はできる」とわかる。結果的に本人がインタビューを強行したことで隠せなくなりバイデン大統領は大統領レースから撤退。ハリス副大統領は巻き返せずトランプ政権の誕生につながっている。
なぜ土壇場まで露見しなかったのだろうか?と改めて考えた。末期の選挙戦は高齢者同士の罵り合いだった。このため有権者は大統領の認知能力の衰えに気が付かなかったのだろう。
バイデン政権末期の状況はすでにCNNとAxiosの記者の共著で伝えられていた。本来ならばバイデン氏を擁護すべき立場のメディアだが、バイデン前大統領が大統領選挙に介入すると勝てるものも勝てなくなるという気持ちがあるのかもしれない。
トランプ政権はバイデン大統領の衰えを喧伝し当選を正当化する狙いがありロバート・ハー特別検察官のインタビューを公開している。Axiosがこれを入手しYouTubeにアップしたようだ。
以下、引用はすべてAxiosの記事につながっている。全体像はここから把握できる。
さらにAxiosはいくつかの記事を出している。最初の記事は2024年2月のもの。特別検察官は当初からバイデン大統領の認知について問題を提起しており、今回の史料はそれを裏付ける内容となった。
- Special counsel report questions Biden’s memory(2024/2/8)
- Exclusive: Prosecutor’s audio shows Biden’s memory lapses(2025/5/16)
- Exclusive: Biden’s reversal on classified document flustered his attorneys(2025/5/17)
そもそも「認知能力の衰え」は高齢者であれば珍しくない問題だ。だが、すべての認知能力が一度に落ちるのではない。
- 古い記憶は鮮明でも新しいことが覚えられなくなると言った具合にまだらに進行する
- 複雑なことが処理できなくなる
- 思い出したくない問題は本当に忘れてしまう。
バイデン大統領特有の問題というより高齢者特有の問題が政権の後期になって現れたと考えたほうが良さそうだ。例えば長男の死のように思い出したくない問題が把握できなくなっている点など「仕方のない」と感じられるものもある。
ただアフガニスタンの史料についてはそもそも自分が取っておいたことすらわからなくなっている。このためなぜ取っておいたのかも説明できなかったようだ。
バイデン大統領の個人弁護士はおそらくバイデン大統領がすでに複雑な問題を理解できなくなっているとわかっていたのだろう。尋問の途中に「文脈を足す」作業を行っている。こうした外からの助けがあると高齢者は辻褄を合わせた発言ができることがある。しかしバイデン大統領はそれでも辻褄を合わせることができなくなっており弁護士たちを慌てさせたようだ。
さらにバイデン大統領は「アフガニスタンの歴史的意義」について話し始めるのだが、グーテンベルクの印刷機やニクソンについてとりとめのない話をしている。自分がなぜインタビューを受けているのかという「メタ認知」ができなくなっていたのだろう。
そしてインタビューアーに制止されると「単にそれが欲しかった」と認めてしまった。
このような状況を考えると末期のバイデン大統領は落ち着いたインタビューを受けることができるような状態にはなかった。
皮肉なことに大統領選挙は高齢者同士の罵り合いになっていたためこれが有権者に自覚されることはなかった。ABCニュースは「罵り合いなしにお互いの大統領が何を言っているのかを落ち着いて知りたい」と考え、両大統領候補にインタビューを申し出る。トランプ候補はこれを拒否しバイデン大統領はそれを受け入れた。
おそらくトランプ大統領の誕生を望んでいなかったリベラルなデビッド・ミュアー氏は大統領の威厳を損ねないように細心の注意を払ってインタビューを行った。しかし、それでも大統領の衰えを隠し切ることは出来なかった。結果的に民主党はハリス氏が挽回することはなくトランプ大統領の当選を許すことになった。
