9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

ネタニヤフ首相がガザ地区の併合に踏み込んだ発言を行った。イギリスはパレスチナ国家承認に向けて一歩を歩み始めた。主権国家を併合する行為はロシアのウクライナ侵攻と同じ国際秩序に対する挑戦となる。アメリカ合衆国は依然イスラエルに強く肩入れしているがこれは国際戦略というよりはトランプ大統領の思い込みによるもののようだ。

ガザ地区では深刻な飢餓が伝えられている。1/3の住民が何日も飲まず食わずだという報道も出ている。ネタニヤフ首相は極右の閣僚に引っ張られる形で「ガザに飢餓などない」と言い放っていたが、今度はハマスが誠意を見せなければガザを併合すると言い出した。

欧州はこれまでパレスチナを国家として認めていなかった。だが、国家承認が遅れたフランスがなぜかサウジアラビアと組んでパレスチナ国家承認のキャンペーンを行っている。国際的な状況は大きく変わりつつある。

そんななか「私的に」スコットランドを訪れていたトランプ大統領が会見を開き1時間以上も政治放談を行った。様々な事象についてとりとめもない発言を行いBBCは「喜劇み」があったと表現している。アメリカ合衆国から来たピエロがなにか面白いことを言っているぞということなのだろう。トランプ大統領に頭が上がらないキア・スターマー首相に対する批判もありそうだ。

ニューヨーク市長選挙の民主党候補は社会主義者のイスラム教徒である。これを勝手にロンドンの市長(同じくイスラム教徒)と重ねたのだろう。イギリスの内政に興味もなければ知見も乏しいトランプ大統領はロンドン市長を批判した。スターマー首相は「私の友達なんですけど」と制止したそうだ。また放言で知られるファラージ氏を褒め称えたそうである。発言のデタラメぶりはトランプ大統領に重なる。

トランプ大統領は物事を深く捉えない。全ては「イメージ」である。このため発言に一貫性がない。そんなトランプ大統領に媚びて1時間以上も放談に付き合ったスターマー首相にBBCは呆れているのかもしれない。

いずれにせよスターマー首相はアメリカ合衆国とは話ができないと感じたのだろう。イスラエルが戦争を止めなければイギリスもパレスチナ国家を認めると発表した。

とあると残りの先進国はわずか。ルビオ国務長官がフランスのパレスチナ国家承認を批判している。関税問題でアメリカから恨まれたくない日本はおそらくパレスチナ国家承認は行わないかもしれない。

いずれにせよ、ヨーロッパの各国がパレスチナを国家承認するとガザ併合は「ロシアのクリミア・ウクライナ侵攻」と同じ位置づけになる。いわゆる力による現状変更になり決して許容はされないだろう。アメリカ合衆国はこの潮流に乗り遅れることになるだろうがおそらくトランプ大統領はその深刻さに気が付かないだろう。

北方領土問題を抱える日本にとっては国益と国際的な立場がかかった重要な局面だが保守政治家たちの反応は極めて鈍い。彼らが本心では保守イデオロギーには興味がないことがわかる。単に強いアメリカの威光を背景に威張りたいだけの人たちなのだろう。

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