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ドナルド・トランプ大統領が「貿易相手国を滅ぼす権限がある」と主張

9〜14分

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いわゆる「トランプ関税」の約7割が、最高裁判所によって差し止められた。当初は「今後の経済への影響は?」といった、ありがちな視点の記事を書くつもりだった。しかし、国際政治学者の鈴木一人氏のX投稿を見て、考えが変わった。

どうやらトランプ大統領は、さらに「おかしくなっている」らしい。彼は「自分には貿易相手国を滅ぼす権限がある」と主張しているという。イラン攻撃をめぐっても、周囲の人間は「トランプ大統領自身ですら、何を選ぶのか予測できないのではないか」と語っている。

「トランプ大統領が滅ぼそうとしているのは、実はアメリカ合衆国なのではないか」と感じた。

鈴木氏はトランプ氏の発言の主語が「私」になっている点を危険視している。国家の私物化を象徴するものだ、という指摘である。だが、引用された原文には「私は貿易を破壊し、国を破壊する権限がある」とある。

ここで言う「国」には、当然ヨーロッパや日本といった同盟国も含まれる。つまりトランプ大統領は、「同盟国であっても破壊して構わない」「破壊される可能性がある」という前提で交渉していたことになる。しかし、アメリカ合衆国が徐々に「狂って」きているためか、もはやこの発言自体がニュースの主軸にならない。

トランプ大統領は、最高裁判所によって「自分の計画(国家の計画ではなく、個人の計画)」を妨害されたことに強い怒りを示している。彼はこの決定を極めてパーソナルな攻撃として受け止めており、何としても「自分の方が正しい」「自分の方が強い」ことを証明しなければならないと考えているように見える。

まず彼は、時間稼ぎのために別の法律を用いる構えだが、その効力は150日しか持たない。その後は、1974年通商法301条の適用を検討しているとされる。Reutersは、USTRがすでに審査を始めたと報じている。

最高裁判所は今回の決定において、トランプ大統領を過度に刺激することを恐れ、政策判断や返金問題について踏み込んだ意見表明を避けた。しかし、その配慮にもかかわらず、トランプ大統領はこれを「自分への攻撃」と受け止めたと見られる。

最高裁が返金問題に踏み込まなかったため、返金を求める企業は、貿易裁判所に提訴する必要が生じた。政権側は法廷闘争を辞さない構えである。つまり、提訴そのものが「トランプ大統領個人への挑戦」と受け止められる可能性があり、企業が訴訟に踏み切るかどうかは未知数だ。

一方、民主党系の知事たちは、積極的にトランプ大統領と対峙する姿勢を強めている。「州民を代表して訴訟を起こす」と明言した知事も現れている。

日本は、トランプ大統領を刺激することを恐れ、対米投資を見直さない方針だとされている。しかしヨーロッパでは、「もはや合意の前提は崩壊したのではないか」「貿易協定の批准は不要ではないか」という意見が広がりつつある。

そもそも今回の関税政策には、三つの目的があった。

  • 第一に、製造業の国内回帰である。しかし、アメリカではすでに人材も設備も不足しており、この目標は達成できなかった。
  • 第二に、脱中国である。ところが今回の措置を受けて、中国は対米以外の貿易を拡大し、貿易黒字は過去最高水準に達した。
  • 第三に、有権者対策である。関税を「非議会収入」として財源化し、税負担を軽減する構想だった。しかし実際には、関税コストの約9割をアメリカ市民が負担し、景気は急速に減速している。

これらの目標を「合理的」と評価するのは難しい。仮に百歩譲って「一定の戦略性があった」としても、もはやその痕跡は残っていない。最後に残ったのは、「トランプ大統領の自己正当化欲求」だけである。

近年、この「自己正当化衝動」はさらに強まっているように見える。イラン攻撃をめぐり、Axios(例によって、バラク・ラビド氏の記事)には、次のような記述がある。

“They have something for every scenario. One scenario takes out the ayatollah and his son and the mullahs,” the adviser said, referring to Supreme Leader Ali Khamenei and his son Mojtaba, who is seen as a potential successor. “What the president chooses no one knows. I don’t think he knows.”

大統領が何を選ぶのかは分からない。私は、彼自身がそれを理解しているとは思わない。

Trump’s Iran options: “Token” nuclear enrichment to taking out Khamenei(Axios)

つまり、トランプ大統領は今や「衝動」に突き動かされている存在になりつつある。彼は「外国を貿易で攻め滅ぼす権限を持っている」と考えているようだが、実際に破壊されるのは「外国」ではないのかもしれない。それは、アメリカ合衆国そのものではないだろうか。

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