Axiosが「次の選挙には出ない」と言っている共和党議員が増えていると書いている。トランプ政権は共和党の選挙キャンペーンにますます口を出すようになり、そもそも議会がほとんど開かれていない。
それだけではなく議員に対する恐喝が増えていて身の危険を感じる人が増えているそうだ。この暴力的傾向を強めているのもまたトランプ大統領なのである。いわば犬笛を吹きまくっている。
ことの発端は軍歴を持つ民主党議員たちのビデオメッセージだった。法律違反になるような命令には従わなくても良いと軍人に働きかけた。トランプ大統領は大いに反発し「この議員たちを極刑に処すべきだ」と主張し物議を醸している。
トランプ政権の政敵潰しは司法からの反発を受けた。議会を迂回して任命した連邦検事が「違法である」と認定され裁判が却下されたのだ。このあと民主党のマーク・ケリー上院議員を軍法会議にかける可能性があると国防総省が一方的に宣言している。
NASAの宇宙飛行士としても知られるケリー氏は退役軍人であり1951年に作られた法律(UCMJ)によって軍法会議の対象者となる。BBCによれば今回参加した民主党議員は全てUCMJの対象者だそうだが、見せしめのために選ばれたものと考えたほうが良さそうだ。
ケリー氏の妻は下院議員時代に撃たれて議員辞職を余儀なくされている。つまり政治的暴力事件の被害者である。ケリー氏自身の軍功も高く評価されていることから、この恫喝が世論にどのようなメッセージとなるのかはまだ良くわからない。
こうした恫喝手法はトランプ大統領の支持者たちの間にも広がっている。
Axiosは「次の選挙に出ないかもしれない」共和党議員が増えている。マージョリー・テイラー・グリーン議員が早期辞職を決めたが共和党議員が次々に離脱するとバランスが崩れ共和党が少数に転落する可能性もある。
Axiosによると状況はかなり複雑なようだ。
- まずトランプ大統領が有権者が期待するような成果を出していない。またエスタブリッシュメントを優先するような言動も多い。
- そもそも議会が殆ど開かれておらず有権者の期待に応えようにも活躍の舞台がない。
- チャーリー・カーク事件以降に政治家に対する脅迫が増えている。
結果的にリスクばかりが高く成果が出しにくい状況が生まれているようだ。
連邦政府閉鎖を通じて、政府が閉鎖されてもトランプ大統領が独自で資金を捻出し「やりたいことだけをやれる」という既成事実が生まれている。その最も顕著な例がホワイトハウスの東翼の解体と大宴会場の建設だ。こうなると議員の仕事云々ではなく「そもそも立法府など必要なのだろうか?」ということになりかねないのだ。
更にチャーリー・カーク事件のあとトランプ大統領は私は政敵を許さないと発言している。このあとに脅迫が増えているとすればそれはトランプ大統領に呼応した動きと言える。いわば犬笛だが公然と皆に聞こえる周波数で笛を吹きまくっている。
トランプ大統領は議会共和党を完全にコントロールしているわけではない。焦りをつのらせ「もっと強いメッセージがないと選挙に勝てない」と介入を強めているそうだ。民主党も内部に混乱を抱えているため一概に共和党が不利だとは言い切れないが、トランプ大統領が焦りを募らせれば募らせるほど内部が混乱し政権を支える与党が崩壊しかねない事態になっている。
