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トランプ政権がベネズエラに軍事的圧力

8〜13分

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トランプ政権が軍艦5隻と4000人の軍人を使ってベネズエラ政府に軍事的圧力をかけている。

今回の事件で長年疑問だった問題が解けた。中国に対して強硬な姿勢を持つルビオ国務長官の行動原理がよくわからなかったのだ。戦略的なようでどこかあやふやなところがある。

マドゥロ大統領がアメリカ合衆国がベネズエラに侵攻してくることなどありえないと主張しているという。トランプ政権を支えるMAGAは軍事力展開には後ろ向きなのでそんな心配は杞憂だと思った。

記事を読んで驚いた。アメリカ合衆国は実際に軍事力展開しているそうだ。

南米ベネズエラで独裁色を強める反米左翼ニコラス・マドゥロ大統領は28日、米国が同氏に圧力をかけるためカリブ海に軍艦5隻と兵士4000人を派遣したことを受け、米軍がベネズエラに侵攻することは「あり得ない」と述べた。

米軍のベネズエラ侵攻「あり得ない」 マドゥロ大統領(AFP)

バンス副大統領はエリートのアジェンダに従ったアメリカの軍事力展開に極めて否定的。これはアメリカ合衆国はアメリカの問題に集中すべきだというMAGAの意見を代表している。この文脈で考えるとトランプ大統領がベネズエラに軍事侵攻することなどありえない。

答えはAXIOSにあった。

AXIOSはどちらかと言えば反トランプ的なメディアでトランプ支持者たちにたいして「実はトランプ大統領の政策はあなた達のためになっていませんよ」と宣伝する記事を多く書いている。

Axiosによれば今回の軍事作戦を主導しているのはルビオ(記事の中では呼び捨てになっている)だそうだ。キューバ移民の子どもであり社会主義陣営の現キューバ政権に批判的な立場。ベネズエラは当然キューバと結び付きがある。ルビオ氏の行動はMAGAの考えるアメリカ孤立主義とは相容れない。

Between the lines: Trump’s policy today is driven largely by Rubio, a bilingual son of Miami’s staunchly anti-socialist Cuban exile community.

日本にとってアメリカ合衆国の対中国政策は重要関心事。日本の安全保障の基礎はアメリカの対中国包囲網がうまくゆくかによって大きな影響を受けることは言うまでもない。しかしながらトランプ大統領は対中国強硬路線を取ったかと思えばそれを放棄する動きも見せている。

背景にあるのはルビオ国務長官の個人的な共産党憎悪と置くとこのあやふやさが一定程度説明できる。

トランプ大統領は共和党タカ派の共産主義憎悪を吹き込まれて一度は対中国強硬路線に出た。ところが、一転して中国に対する対応を変えている。プーチン大統領から「アメリカ・ロシア・中国」という大国で世界を支配しようと吹き込まれたのではないかと思う。対中国強硬路線をかなり露骨に修正している。

ではルビオ国務長官はアメリカの世界戦略を重要視して対中国強硬路線を支持し続けるだろうか。

ボルトン元大統領補佐官はガチの強硬派なので「トランプ大統領の外交政策には哲学はない」と切り捨てている。仮にこれが正しい共和党タカ派だとするとルビオ国務長官はかなり我慢を強いられていることになる。

だが仮にルビオ国務長官の動機が個人的なルサンチマンの発露であると考えると、中国というおもちゃがなくてもベネズエラというおもちゃで遊べれば満足ということになる。

ここから、日本の外交安全保障の基礎はかなり揺らいでいるだろうという結論が得られる。

これを補強する材料としてはアメリカ合衆国のインドに対するあやふやな態度が挙げられる。戦略的に何をどうしたいのかがさっぱりわからない。

トランプ大統領は個人的なアジェンダを優先しインドいじめ行っている。結果的に安倍総理が追求してきたクアッド構想にほころびが見られる。

モディ首相はトランプ大統領の圧力をヒンディナショナリズムの高揚に利用しつつ、日本に対してはクアッド重視の姿勢を見せている。アメリカをなんとかとりなしてほしいという気持ちもあるのだろう。

モディ氏は石破茂首相との首脳会談で、中国を念頭に安全保障の連携を定めた共同宣言を17年ぶりに改定することで合意する。インド太平洋地域の民主主義国が参加するクアッドは中国をけん制する上で、インドにとっても重要だ。26日に記者会見したミスリ印外務次官は「(クアッドの)全てのパートナー国と協力を前進させていくことを楽しみにしている」と述べた。

クアッド重視確認へ 対米関係悪化も中国警戒―インド(時事通信)

自民党は延々と「選挙に負けたのは誰のせいだ」という議論をやっているがその裏ではかなり急速な国際状況の変化が起きている。

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