連邦政府の閉鎖はこれまでにない数の被害者を出している。ところがトランプ大統領は全く慌てていない。むしろ「アメリカを美しく改造する」新しい資金捻出方法を発見したようだ。ただしこの「アメリカを美しくする」というのはトランプ大統領の主観にすぎない。多くの人は金ピカ主義のトランプ様式を文化破壊だと考える人もいるだろう。盤石に見えたアメリカの三権分立に基づいた民主主義も破壊するのは簡単なのだなと気がつく。
当初、ホワイトハウスの既存の建物には影響がないと説明されてきた宴会場の建設。しかしながらブルドーザーがホワイトハウスの東翼を盛大に破壊し始めた。後にはトランプ大統領が考える「美しい建物」が建設される。トランプ大統領は金ピカの内装を得意げに披瀝している。
ABCニュースの取材により資金捻出方法が明らかになりつつある。例えばGoogleはトランプ大統領のYouTubeアカウントをBANしたお詫びとして和解金を支払っている。こうした和解金がトランプ大統領の「私的プロジェクト」の軍資金となっているようだ。
トランプ大統領は司法省からも何らかの資金を捻出しようとしている。かつて自分を訴追しようとしたからお詫びのために資金を出せと迫っているようだ。司法省幹部の同意は必要だそうだが彼らはトランプ大統領に任命されており最終決定者もトランプ大統領である。実はこの和解金も「自分は金儲けしたいわけではないから慈善団体に寄付をする」ものとされているそうだ。
トランプ大統領のホワイトハウス改造計画は「トランプ氏が考える美しい建造物」である。ただしヨーロッパの伝統を寄せ集め金メッキを施した内装に嫌悪感を感じる人もいるだろう。ホワイトハウスの改造は委員会を通す必要があるが、一度壊されてしまった建物を回復することはできない。できたとしても多額の資金が必要になるだろう。
厄介なことにトランプ大統領はこの悪趣味な金ピカ建造物を本気で「美しい建物である」と信じているようだ。
おそらくこの件で最も脅威を感じるべきなのは議会なのだろうが、ジョンソン議長は今回のホワイトハウス改造計画を賛美している。
もちろん民主党側は猛反発している。ホワイトハウス東翼は主に大統領夫人によって管理されてきた。ことためヒラリー・クリントン氏は「これはあなたがた(国民)の家であって、大統領の私物ではない」と言っている。司法省の和解については民主党が調査を進める考え。
本来は「民主主義があるべき姿が破壊されており結果的にアメリカの伝統が破壊されるだろう」と位置づけられるべきだが、アメリカ合衆国では民主党と共和党のいざこざであると理解されているようだ。分断が民主主義の根幹的価値を簡単に破壊してしまうことがよく分かる。
一度「何が良くて何が悪い」という基準が破壊されてしまうと批判は相対化され「やりたいことをやってしまった人が勝つ」社会が作られる。この価値観が国際的に蔓延すると「万人闘争状態」が起こることになる。
