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トランプ大統領が国連での「妨害」の調査要求

5〜7分

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トランプ大統領をヒトラーなどの独裁者に重ね合わせる人がいる。しかしトランプ大統領の演説の天才ぶりは巧みな演出によって支えられているため劇場の外までは魔力が及ばない。

内外落差に苛立つトランプ大統領はついに国連に「調査」を要求し世界中を呆れさせている。結果的にトランプ氏の信者たちが世界平和に貢献する形になっているといえるのかもしれない。

一部、ホテル王時代のトランプ氏をモデルにしたと思われる映画「オーシャンズ13」ではホテル開業当時のマイクロマネージメントぶりが描かれている。ホテルオーナーのバンク氏は新ホテル開業の細かい演出になみなみならぬこだわりを見せる。

そもそもなにもない砂漠地帯に水を引きいれ「イメージ」だけを頼りに欲望の都市を作り上げるという独特の産業形態はアメリカでは映画やストリーミングメディアよりも大きな規模に育っているようだ。

この徹底したイメージ戦略は、アメリカ政治においてトランプ大統領を中心とした「巨大な聖堂」と熱狂的なトランプ支持者を生み出している。

しかしその魔法はニューヨークの国連本部には及ばない。トランプ大統領お抱えのビデオグラファーは歴史的演説を前にしたトランプ大統領の映像をバッチリカメラに収めようと逆行してエスカレーターに乗り込んだがそのために安全装置が作動しエスカレーターは緊急停止した。

またホワイトハウスのスタッフもうまくプロンプターが操作できなかったようだ。だったら慣れたスタッフに任せればいいと思うのだが国連のプロンプター操作に不慣れだったのだろう。

さらにトランプ大統領はメラニア夫人に「あなたの声が聞こえなかった」と言われたらしい。これを「国連が意地悪をしてマイクをオフにした」と解釈したようだ。

この3つを「国連が自分を妨害した証」として調査を要求している。妨害が証明できなければおそらく躍起になって証明を試みるだろう。現在トランプ氏は政敵の追い落としに躍起になっており「起訴する証拠がない」との報告を受けて担当検事を解任したりしている。

トランプ大統領に取っては気の毒な限りだが、周りに信者が集まれば集まるほど、その外側では「ピエロ」に見えてしまう。

ただし冷静に考えるとアメリカ全体・世界全体がトランプ大統領の演説の「才能」によって盛り上がるということはないわけだ。そしてそれを防いでいるのはトランプ大統領の周りに集まる熱心な「信者たち」である。

つまり彼ら熱狂がもたらす違和感こそが世界をかろうじて狂気による崩壊から救っているということになる。