トランプ大統領が作り出した不確実性が世界を揺るがしている。その原因を突き詰めていくと、「個人的な不安定さ」が要因となっている可能性が浮かび上がるのは実に驚くべきことだ。これまで確実に見えていたアメリカ合衆国中心の平和が、「属人的な理由」で音を立てて崩れ始めている。
トランプ大統領は「前任者の一人がイランを攻撃したがっていたと言っていた」と主張した。しかし存命の4人の元大統領はいずれもこれを否定している。自己肯定感の危機にあるトランプ大統領はキューバへの圧力を強めており、キューバでは送電網が崩壊したと報じられている。トランプ大統領は「自分はキューバに対して何でもできるんだ」と記者団に語った。ベネズエラを助けることができなかったロシアはキューバとの連帯を表明したが、実際に支援できるかどうかは微妙な情勢だ。
- キューバで大規模停電、1000万人に影響 抗議デモも発生(REUTERS)
- トランプ氏、キューバ掌握示唆 「何でもできる」(REUTERS)
- ロシア、キューバへの「揺るぎない連帯」表明 内政干渉を非難(REUTERS)
イスラエルはレバノンに侵攻し、多くの死者が出ている。パキスタンはアフガニスタンの医療施設を攻撃し、「軍事施設だと思っていた」と釈明した。
ホルムズ海峡では、イランが選択的にタンカーの通行を認めている。パキスタンは通過し、イラクも交渉を進めているようだ。トルコのタンカーは1隻が通過に成功した。一方、日本の米軍基地からは部隊が出動している。イランは「アメリカに協力する国のタンカーは通さない」と主張している。
今後、「他の国は通れているのに、なぜ日本は通れないのか」と考える人が大勢出てくるだろう。しかし、この問題は必ずしも合理的な回路で処理されるわけではない。「快・不快」という感覚によって受け止められる可能性が高い。
その結果、静かに高市総理から離れていく人が増えるかもしれない。「なぜか前のように高市さんに期待できないが、理由はよく分からない」という程度の感覚として現れる可能性もある。
またトランプ大統領は、戦争中はアメリカ合衆国を離れることができないとして中国との会談を延期している。対中国交渉が行き詰まっていたのかもしれないし、国内の動きを抑えるために国外へ出られない事情があるのかもしれない。
これら一連の動きを整理すると、混乱の根幹には「アメリカ合衆国が世界秩序を守る意思を失いつつある」という問題があることが見えてくる。言い換えれば、1989年体制の「逆バージョン」が起きているとも言えるだろう。1989年には東側が崩壊したが、いままさに西側の側でも秩序が揺らぎ始めている。そう考えるならば、これは1945年体制の動揺と捉えることもできる。
1989年の崩壊には「ベルリンの壁」という象徴的な物理的破壊が伴っていた。しかし今回の変化には、そのような分かりやすい象徴が存在しない。さらにSNSの台頭によって「感覚的な政治理解」も広がり、世界で何が起きているのかという全体像はますます見えにくくなっている。
その意味で、トランプ大統領はこの変化の「原因」というより、むしろその結果として現れた存在なのかもしれない。

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