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トランプ・ショックが直撃する高市政権

8〜13分

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高市総理は「自分より強いもの」を背景にして自身の政治権力基盤を確立している。つまり「強いもの」が崩れると、その影響がそのまま高市政権に跳ね返ってくる。トランプ大統領の国際法違反はそれほど大きな注目を集めなかったが、トランプインフレの可能性が浮上したことで、高市政権は苦しい立場に追い込まれつつある。期待値が下がれば、熱によって膨らんだ口当たりはいいが中身がない高市人気も急速にしぼむことになる。

そもそも国際法は欧米の既得権益を守るために組み立てられてきた側面がある。だからこそ、アメリカ合衆国がそれを破ることは想定されていなかった。さらに、訪米を控える高市総理はトランプ大統領を批判できない。だが、トランプ大統領との距離を示さなければ、国際法上問題のあるイラン攻撃への参加を求められる可能性がある。

日本の限定的集団的自衛権(そもそも国際法にそのような概念はないが)を行使するためには、その行動が国際的に支持されている必要がある。しかし今回は、その支持は得られない可能性が高い。国会に対して十分な説明ができないため、政府は「アメリカの法的評価はできない」「集団的自衛権行使容認については総合的に判断する」と意味不明な答弁を繰り返している。

9日の衆院予算委員会集中審議で、高市氏は存立危機事態か否かの判断について「現在の状況が存立危機事態に該当するといった認定は政府として​行っていない」と改めて述べた上で、今後の可能性は「事態の個別具体的な状況に即して政府がすべての情報を総合して判断することになるので、現時点で一概にお答えすることは困難だ」と語った。

アングル:イラン混迷、高市政権初の「危機」 日米会談迫り焦燥感(REUTERS)

さらにトランプ大統領はSNSで「石油価格の上昇など取るに足らない。そう考えないのは愚か者だけだ」と発信した。つまり、自分の作戦行動を正当化するためなら石油価格がどうなろうと構わないと、一方的に宣言したことになる。

トランプ氏は8日、自身の交流サイト(SNS)への投稿で「イランの核​の脅威が排除され​れば石油価格⁠は急速に下落する。短期的な価格上昇は、米国と世界の安全と平和のために支払う、ごくわずかな代価​だ」と主張し、「そう思わないのは愚か者だけだ!」と述​べた。

イラン戦争で原油急騰、各国が対策に奔走 備蓄放出も(REUTERS)

1バレル60ドルを割り込めば採算が取れなくなるとされていた石油先物価格は、一気に119ドルまで上昇した。つまり短期間でほぼ2倍になった計算だ。トランプ大統領の強硬姿勢を背景に、イランではモジタバ師の政権が誕生した。日本の株価も一時大きく値を下げている。

ウクライナ戦争の日本への影響は限定的だった。そのため、イラン戦争が起きたときも「対岸の火事だ」と聞き流した人は多かったかもしれない。しかしNISAの浸透によって株式投資が一般化した現代では、日経平均株価の大幅な下落(一時4,213円安、最終的に2,892円安)に衝撃を受けた人も多かったのではないか。

先ほどG7が会合を開き、国家備蓄を協調放出する方向で検討に入った。これを好感して原油先物価格は90ドル近辺まで下落したが、それでも以前の水準から見ればかなり割高である。

「国際法」や「平和主義」に関心を持たない人は多いかもしれないが、「トランプによって引き起こされた物価高」はトランプ大統領に対する不信感を広げるだろう。当然、自らの政治的ポジションをトランプ大統領にフックしている高市総理も批判の対象になる。もっとも、日本の有権者がこれを直接的に批判するとは限らない。むしろ、このところの自民党は「政治とカネの問題」にだらしなくなっているが、高市総理は何もしてくれていない、という形で不満が別のところに投射される可能性が高い。

結局のところ、「淡い期待」によって作られた高市人気は、熱のある間しかおいしくないスフレケーキのようなものだ。口当たりはいいが中身がない。熱が冷めればケーキはしぼみ、中から現れるのは「旧態依然として変わろうとしない自民党」の姿である。


今回の記事はテーマが多岐にわたるため「特集」として扉ページを準備した。

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