日本には「丁寧に説明する」と言いつつ現状を繰り返し述べて相手をいらつかせる政治文化がある。アメリカでも似たようなことは起きているようである。トランプ大統領が「トランププレミアムはスカイロケットだ!」と叫び記者たちを唖然とさせた。
このニュースをABCニュースで見たときには意味がわからなかった。そもそもの原因は「プレミアム」という言葉にある。日本語で言うプレミアムは「このチケットをオークションにかけるとプレミアムが付く」のようになにかいいものであるという印象がある。高級ビールに「プレミアム・モルツ」という商品もあるくらいだ。
ところが元々の意味は前もって確保しておくという意味で、主に保険の掛け金として使われていたそうである。
英語のプレミアムは今では両方の意味で使われているが、日本語では保険金という用法が抜け落ちて「なんとなく高級さを意味する言葉」として一般に流通している。
トランプ大統領は候補者時代に「医療保険のプレミアムは高すぎる」と主張。しかし自分が責任を持って下げるという意味で「トランプ・プレミアム」対策を打ち出した。候補者時代には「自分は優れた構想を持っているが」「今は大統領ではないから実現できない」と言っていた。
しかし次第に「トランプ時代のプレミアム」が安く抑えられないことがわかると「トランププレミアムが高いのはバイデンのせい」と発言するようになる。
トランプ大統領は「プレミアムが高いのは保険会社が中間に入って搾取しているから」で「政府が直接介入すればプレミアムは抑えられるはず」と考えたようである。これはある意味では正しい。日本の健康保険と同じような考え方だからである。しかし政府の介入を嫌う「小さな政府主義」共和党には受け入れられなかった。
議会共和党はACA(オバマケア)の補助金が高すぎると主張しACAの補助金打ち切りが決まった。すると2200万人の保険料が高騰することになる。
そこで記者たちは「トランプ大統領の構想とやらを聞かせてくれ」と詰め寄った。しかしおそらくトランプ大統領にはそんな構想はない。そもそも「プレミアム」を2つの意味で使い分けてきたトランプ大統領は、トランププレミアムはスカイロケットだ!と叫び、話を曖昧にしようとしている。
これはトランプ大統領になってアメリカ市民が「その配当を受け取れる」とも取れるし、トランプ大統領の医療保険が爆発的に跳ね上がるという意味にもなる。つまり大きな声を出して話を有耶無耶にしようとしていることになる。
ここまでの経緯を学習し「なんか無茶苦茶だな」と思った。そこでChatGPTに日本でも同じような事例はあるか?と聞いてみたところ
- 聖域なき構造改革
- 国民の理解を得る
- 痛みを伴う改革
- 官民連携」/「自助・共助・公助
- 国際社会と連携
を例示してくれた。
要するになにかやりますと言って何もやらないという意味であり、日本もアメリカもあまり状況は変わらないということがわかる。問題はこのごまかしを有権者がどう捉えるかなのだろう。

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