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テレビでは絶対にできない「ウクライナに対する安全保障」の話

8〜12分

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BBCがウクライナに対する安全保障について考えている。アメリカ合衆国は地上部隊を派遣せず防空なら協力してやってもいいという。つまりアメリカは地上部隊を派遣しない。

ただ、ロシアとウクライナの前線は1000キロもあるためウクライナの要求を満たすヨーロッパの部隊を展開するのは不可能なのだそうだ。すると最も安上がりなのは「モスクワまで届く長距離ミサイル」ということになり、当然核兵器オプションが出てくる。

核兵器オプションは唯一の戦争被爆国日本ではタブーとされる議論でありこれ以上の議論は展開できないということになる。

今回の議論は1989年のベルリンの壁崩壊を知っている世代としては「できれば話したくない」テーマだ。東西冷戦が終わりようやく世界が1つになると素直に感じられた出来事だった。東西が長い壁を維持できたのは、何かあれば核兵器攻撃が実行され世界が滅びるという「抑止力」があったからだった。

BBCがウクライナに対する安全保障について考えている。

生ぬるい日本のメディアとは違って「プーチン大統領がここで攻撃をやめるなどと思っている人は誰もいない」と断言している。プーチン大統領に攻撃をやめさせるためにはロシアが怯むほどの戦力を展開しなければならないが、1000キロもある前線に対応するのは不可能とのことだ。なおヨーロッパは今のところロシアの了解なしにウクライナに軍事展開するというオプションは持っていない。

ちなみに大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の間にあるDMZは237キロメートルだそうだ。大韓民国の人口は5000万人ほど。男性には兵役義務と応酬義務が課されている。国民生活に対する負担はかなり大きい。

ロシアとフィンランドも同じ規模の国境を持っておりフィンランドは領土割譲に追い込まれた過去もある。フィンランドの人口は550万人ほどだ。

陸軍力でカバーできないとなると「もっと効率的で安上がりな」恫喝手段が求められる。そしておそらくそれはモスクワに到達できるほどの射撃能力である。当然ロシアは承認しないだろう。

すでにロシアはベラルーシにも核兵器を持ち込んでいる。ルカシェンコ大統領はウクライナで自国に置かれた戦術核が使われることはないとしながら、使用を求められた場合には許可を出すと言っている。

朝鮮民主主義人民共和国がロシアと協力して核軍備を進めているが、日本人は見て見ぬふりをしている。北朝鮮は「国体」護持のためには核兵器が必要と考えておりウクライナにロシア側兵士を「供給」している。

状況を考えないように努めている日本人は「そうは言っても最終的にアメリカがなんとかしてくれるのではないか」と考えている。だから、ロシアの「明日の攻撃」に備え始めたヨーロッパが過剰反応に見えてしまう。

ヨーロッパの悲観的なロシアに対する感情の原因の一つにトランプ大統領の過度の楽観論がある。

トランプ大統領はプーチン大統領は天才戦略家である自分とディールをしたがっていると主張する。また習近平国家主席も自分が大統領の間には攻めて来ないと言っている。つまり自分は神に選ばれた天才であると考えているようだ。

また、トランプ大統領はアメリカ合衆国を偉大な製造業大国であると信じており、現在はゴールデンドーム計画を推進している。現在、国防総省が概要を各社に示した段階で4つの備えを持った防空システムになるとされている。

トランプ大統領もイーロン・マスク氏も「フィジビリティ(実現できるかどうか)」を無視する傾向がある起業家だ。マスク氏は何度失敗しても「失敗を認めない限りは失敗にならない」と前進し続けるがトランプ大統領は単に実現可能性を無視しており仕掛中のプロジェクトに飽きてしまう傾向がある。

第一期政権で、トランプ氏は大海軍建設構想を掲げていたようだが、そもそもアメリカ合衆国に造船能力が残っておらず高すぎる要求にメーカーが応えられなかった。おそらく関税で国を閉ざしてもアメリカ合衆国に製造業が戻ってくることはないだろう。現場がついてこれる計画になっていないのだ。

近年では航空機関連のトラブルも相次いで報告されておりアメリカの航空産業の力量が徐々に衰えていることがわかる。2024年1月5日にはボーイングの主力機である737MAX9のドアが落下する事故があった。後に記録漏れなどいくつかの人為的ミスが重なって起きた事がわかっている。

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