9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


テクノロジーから見た政治の流派

14〜21分

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ChatGPTに安野貴博氏について解説してもらったところ、以前話題になった「グローバルVSローカル」の話になり、そもそも今どんな流派があるのか?ということが気になった。

そこで分類地図を作ってもらった。安野貴博氏は日本では唯一の「テクノラティック」に属するが、その他の日本の政治家はこの潮流には全く乗っていないため「乗り遅れ型」という分類を作ってもらった。さらに乗り遅れ型の河野太郎、平将明、牧島かれん各氏の評価も行った。

この整理の結果をさらに簡単にまとめたのがこちら。

「お楽しみコンテンツ」として簡単な診断ゲームをClaudeに作ってもらった。もちろん、学問的に厳密なものではないので遊び感覚で利用していただきたい。

欧州型:正統派の政治思想地域

リベラル・デモクラシー主義(伝統派)

国際協調重視、民主主義重視、市場主義経済重視。つまりこれまで我々が考えていた「西側的」な考え方。

社会民主主義(欧州左派)

欧州型のリベラル・デモクラシーは持続可能性への不安から、再分配を強化すべきだと考える人達(社会民主主義者)とアメリカ型(テクノロジー利用派)に分派した。アメリカ合衆国にもバーニーサンダーズ氏やオカシオ・コルテス氏などがいる。ニューヨーク市長でマムダニ氏が勝利したことで今後民主党の重要な分派になるものと考えられている。

アメリカ発:テクノロジー中心の新しい政治潮流

アメリカの技術政治議論は「これまでの民主主義を維持するか」「民主主義を放棄するか」によって2つに分類される。

テクノクラティック(Technocratic)

シリコンバレで主流の考え方。エビデンスとテクノロジーをもとに政策を実行すべきと考える合理主義者。IT技術の発展に伴い2010年代に登場した。関心分野の違いからいくつかの流派がある。台湾のアンドリー・タン氏が有名だが、日本では安野貴博氏が唯一この分類に属する。

デジタル民主主義(Digital Democracy)

民主主義の透明化、効率化、熟議をITでサポートしようという考え方。オードリー・タン氏や安野貴博氏などはここに含まれる。政治の透明性に関心がある人たち(オープンガバメント)やデータに基づいた行政判断(ガバナンス・アナリティクス)に細かく分類できる。

シビックテック(Civic Tech)

デジタル民主主義のうちテクノロジーよりもむしろ「市民参加」に焦点を置いている。市民が自ら技術で行政や政治を改善するという考え方。

流動民主主義(Liquid Democracy)

これとは別にIT技術で投票を変えようという動きもある。既存の投票と違って「嫌になったら支持を取りやめる」事ができる。つまり支持率で人気を計るだけでなく議席を失わせることもできる仕組み。

熟議民主主義(Deliberative Democracy)

1990年代に登場した「議論と合理性を重視する」民主主義。

新制度派経済の民主主義論(アセモグル系)

制度設計が政治と経済の繁栄を決めるとする考え方。

民主主義懐疑派・代替ガバナンス派(エリート/市場主導)

民主主義は社会発展の妨げになると考える「発展至上主義」の考え方。イーロン・マスク氏などがいる。

デジタル・リバタリアン(技術的自由主義)

中央政府の統制を排除するために分散化技術を使おうという考え方。ビットコインの普及で2012年ごろから2017年頃にかけて一般化した。

ネオ・アクセラレーショニスト(加速主義)

テクノロジーの進展は押し留めてはならずAIの規制は論外という考え方。2020年頃から一般化した。

ネオ反動主義(Neoreaction / NRx)

カーティス・ヤーヴィンの思想に影響を受け、国家を株式会社のように扱い経営するという考え方。民主主義よりも結果としての功利(収益の最大化や安定性)を重要視する。国民主権は明確に放棄され「嫌なら(経営が気に入らないなら)出てゆけ」ということになる。

メディア・思想系

グローバリズムにより現在のヨーロッパ型資本主義・民主主義は全体像が掴みにくくなっている。これを積極利用して情報を飽和させることで自分たちに有利な方向を作り出そうとする考え方。ドナルド・トランプ大統領などが典型例。

ポピュリズム(右)

一般市民が持っている怒りを増幅させる「Rage Bait」をうまく利用してテクノロジーで増幅させようとしている。経済的利益には興味があるが政治的な思想は薄い。アメリカではテクノロジーをエリートと結びつける(どちらも一般市民には理解できない)ことで有利な立場を獲得した。これとは別に左派ポピュリズム(バーニー・サンダーズら)がいるが、こちらは欧州型に分類される。つまり比較的古いタイプの政治思想である。

レジーム・チェンジ論(新冷戦型)

テクノロジーを制覇するものが新しいレジームを制覇するのであると考える。「インテリジェンスを力と考える」人たち。

アジア型:国家主導+テック混合モデル

個人主義的傾向が強い欧米では政治のあり方が直接個人の暮らしに影響を与える。しかしアジアは集団主義的な社会資産が豊富に存在するため、そもそも民主主義への懐疑があまり生まれず、独自の変化を遂げた。

中国型テック・オーソリタリアニズム(デジタル権威主義)

国家統制を強めるためにIT技術を利用するという考え方。監視カメラのAI解析やSNSの統制など国家統制・治安維持のためにIT技術を利用する。そもそも民主主義が存在しないため「意思決定問題」がない。

シンガポール型 “行政テック国家”

エリートがIT技術を使って社会発展を牽引するという考え方。中国のような大きな国家と都市国家の違いと言える。

日本の「完全乗り遅れ型(Laggardism / 後追いモデル)」

「ラガード」の名前が示す通り、他の人達が成功したらその制度を採用するという考え方。結果的にすべてが後追いになり制度疲労が蓄積している。2010年代以降に立ち遅れが顕在化した。もちろんこれに異議を唱える人たちや制度疲労を研究している人はいるがメインストリームになっていない。

高市政権には一部「レジーム・チェンジ型=インテリジェンス強化が力の源泉になる」を信奉している人達もいるのだが、モデル化が苦手なためにアメリカの議論から表面的な影響を受けているだけと考えたほうが理解しやすい。

日本のデジタル政治家の分類

デジタル情報への感度から次のように分類できる。

平将明

平将明氏は情報感度は高く技術を一部理解している。テクノクラティックの話を聞いて理解することができるという意味ではアメリカにいる議員と同等のレベルだが作り手ではなくユーザーレベルと言える。

牧島かれん

牧島かれん氏は行政面からエンジニアをサポートする実務的政治家レベル。

河野太郎

河野太郎氏はテクノロジーを理解できないが「改革にはなにか使えそうだ」と考えるタイプ。

日本には彼らを支える技術系官僚がいない。これは民間から霞が関に入ってくる通路がないから。

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