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テキサスの洪水被害にトランプ政権の人員削減の影響?

6〜9分

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日本はこと災害となると超党派で国を挙げた取り組みが始まる。このためアメリカで起きていることを見るとなんだか浅ましさを感じてしまった。

独立記念日に起きた洪水被害の死者は90名に達したそうだが、地方政府と連邦政府が責任のなすり合いをしているのだ。問題の根幹は「対策するお金がない」というもの。

テキサス州の洪水災害の死者が90名に達した。独立記念日に合わせたサマーキャンプに参加していた指導者と子どもたちが犠牲になっている。

日本の常識だと「まずは救助活動が大切」ということになり総理大臣のリーダーシップが求められる。地方自治体も政府も科学者の言葉に耳を傾けるだろう。

広島市で起きた線状降水帯の被害が記憶に残る。調べると災害が起きたのは2014年だったそうだ。もう10年以上も立ったのかと感じた。当時は「線状降水帯」という言葉も珍しかったと記憶している。

ところがアメリカ合衆国はそうではない。CNNの記事によると川の水位が突然22フィート(6.75m)までサージしたようだが、警報が流れたのはサージ直後だったようだ。逃げるのはほぼ不可能だっただろう。

当初、郡が川の警報システムを設置していなかったという点が問題視された。予算の制約があり設置が見送られたそうだ。ところが郡当局は「寝ているときに問題がおきた、警報がなかった、知らなかった」などと主張した。

そこでNWS(ナショナル・ウェザー・サービス/アメリカ国立気象局
)の人員削減が影響を与えたのではとの指摘が出た。トランプ政権が人員を削減したため人手不足が常態化しているという。当局は必死になって再雇用を進めているそうだ。AP通信が最初に報道しNewsweekがそれを引用している。

予報は5-7インチだったが実際には15インチ(38cm)の雨が降ったという。さらに当局は警報を出したがそれがうまく伝わっていなかったようだ。これが人員削減の影響なのかはわかっていないがトランプ大統領は調査を拒否している。

ここまでは単に歳出削減を進めるアメリカ合衆国連邦政府の問題という気もする。しかし話はここで終わらない。

バイデン大統領はインフラ整備の名目として気象変動を挙げている。おそらく政府の財政規模を拡大するために支持者受けが良い環境問題を利用しようとしたのだろう。

例えばガソリン車を潰してEVに置き換えれば簡単に需要が喚起できる。経済指標をよく見せたい政権にとってグリーンは便利な道具だった。

一方既得権益はこれに激しく反発する。トランプ大統領はバイデン大統領の政策を否定するために「グリーンバッシング」を行っている。

この洪水被害が起きる前に、連邦政府の気象関係のウェブサイトが次々と閉鎖していた。Quoraに寄せられたコメントによると気象予報士がまともな予報ができないと嘆くほどだったそうだ。

今回の大型包括予算ではNOAA(アメリカ大洋大気庁)の研究予算が削減されることが決まっているという。気候変動はバイデン政権がでっち上げたありもしない嘘であり連邦の援助に値しないというわけだ。

結果的に今回の出来事が気象変動によって今後常態化するのか、あるいはたまたま起きた不幸な出来事なのかがわからなくなる可能性がある。災害でさえイデオロギーと無縁ではいられないのが二極化したアメリカの現状なのである。

なお国土安全保障省のノーム長官は「当局は予報精度の向上の為に努力している」との声明を発表しているようだが、記事を見る限り何をやっているのかはよくわからなかった。