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チャーリー・カーク事件の容疑者が確保される

7〜11分

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ユタバレー大学の構内で、若い有権者に対してトランプ大統領への投票を呼びかけてきたチャーリー・カーク氏が殺害された。この事件の容疑者は現場から逃走していたが、家族や知人の通報で確保されたようだ。

ユタ州在住の白人男性のタイラー・ロビンソン(22歳)は高校を優秀な成績で卒業し奨学金を得て大学入学を果たしたが1学期で中退し現在は電気工見習いのコースの3年生だった。特に過激思想にのめり込んでいたという情報も今のところは入ってきていない。

この事件報道は当初からかなり抑制されたものだった。マスメディアは「チャーリー・カーク氏は対話を重んじる人であり、アメリカ合衆国では政治的暴力は許されない」と繰り返し主張していた。

このためメディアを見てもSNS上で何が起きていたのかはよくわからないが、ウォール・ストリート・ジャーナルが記事に修正を加えたという共同通信の短い記事がみつかる。

ここからメディアの抑制的な報道は実はSNSの過激な言論分断の過熱化を恐れたものだった可能性が高い。

捜査当局が発見した銃弾には反ファシズムの文字とトランスジェンダー関連の文字が刻まれていたそうである。ウォール・ストリート・ジャーナルはこれを報道し後に修正を加えたようだ。

アメリカ合衆国ではトランスジェンダーの女性(つまり生まれたときには男性)が銃撃事件を引き起こすことがある。このためトランスジェンダーの女性は危険であると指摘する人がいる。SNSではおそらくトランスジェンダー憎悪の言説が飛び交っていたのではないかと思う。

チャーリー・カーク氏は伝統的な結婚への回帰を訴えトランスジェンダーを問題視していたことで知られている。

CNNが殺されたときのあらましを書いている。チャーリー・カーク氏は「私が間違っていると証明してくれ」というテントに座り参加者の質問を集めていた。つまり私を論破しろというわけだ。

これに呼応した一人が「過去10年間で何人のトランスジェンダーが乱射事件を起こしたか知っているか?」と質問。さらに「ではアメリカ全体でどれくらいの銃乱射事件が起きたか」と重ねた。彼が何を証明したかったのかはわからない。

カーク氏は「ギャングの事件をいれるのかいれないのか」と冗談めかして応答したところを射殺されている。議論にはなんの意味もなく銃弾一つで「正しさ」は証明できてしまうと考える人が出てきても何ら不思議ではない。

この現場映像は盛んにSNSで流されていた。

ユタ州は伝統的に共和党が強い州でありコックス知事は当選のために民主党憎悪を煽る必要はなかった。ユタ州はモルモン教が強い地域だがITの集積地(シリコンスロープス)としても知られる経済的には恵まれた地域だ。

今回の件でも知事は人々にSNSから離れるようにと呼びかけている。ウォール・ストリート・ジャーナルを名指しにしてはいないようだが、ウォール・ストリート・ジャーナルの「軽率な」初期報道も分断を煽るものとみなされる可能性がある。

一方でトランプ大統領は今回の問題を中間選挙に役立てようと盛んに狂気の急進左派の言動がこのような悲劇を生んだと主張する。ABCニュースも、トランプ大統領が政治テロについて語るとき民主党の被害については言及しないと批判的な記事を書いている。

ただし、議会襲撃事件が後々面倒な事態に発展したという教訓はあるようだ。トランプ大統領は「暴力行為は許されない」としているようだ。あくまでも中間選挙を有利に運びたいだけで政治的内戦が自分の批判につながることは好ましくないと考えているのだろう。

言論戦争の領域に達した政治言論の分断は民主主義の根幹である表現の自由を脅かすところまでエスカレートしているが、トランプ大統領が発言を改めないかぎり自衛のための内戦的言論は収まらないだろう。

今回もおそらくはSNS上でさまざまな私的プロファイリングが行われていたのだろうが、容疑者は家族と政治的な意見交換もできる優秀な白人男性だった。つまりどこにでもいる普通の男性だった可能性が高い。当局はタイラー・ロビンソン容疑者の政党登録を公開しておらず、容疑者も黙秘を貫いている。