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スマホ新法でiPhoneが崩壊する?

8〜13分

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ネット上で今「スマホ新法」に対する危機感が高まっている。インフルエンサーが次々に問題を取り上げ「崩壊の危機」を訴える。そもそもスマホ新法とはどんなもので何が問題になっているのかを考え、次になぜネットの懸念が先行しているのかについて考える。

これまでAppleやGoogleといった大手プラットフォーマーは自分たちのサービスに顧客を囲い込んできた。ただしこれにはメリットもある。サービス提供範囲を自社製品に限ることで安全性が高い製品を素早くユーザーに提供できていたのである。

ところがヨーロッパでテックジャイアントが競争を阻害しているのではないかとの懸念が高まり規制の動きが出ている。Appleは「機能を開放すると安全性が保証できない」という理由で一部のサービスを差し止めているという。日本でも同じ法律が12月に制定されることが決まっており「同じような機能制限が起きるのではないか」と懸念されているのだ。

理由について各氏は「ヨーロッパもやっているからという理由で日本でも導入される」などと説明している。「単なるお付き合い」ということになると、なぜ日本でこの法律が必要なのかをきちんと説明できる政治家はいないかもしれない。

彼らはけっしてデタラメを言っているのではない。名前がそのままブランドになっているのでヨーロッパの事例も研究してそれなりに正確な情報を出している。またコミュニティに全体で危機感を共有していることから彼らの間には横のつながりもあり情報にはそれなりのクロスチェックもかかっていることがわかる。

しかしながらサムネイルを見るかぎりはまるでこの世が終わるかのような印象を持つ。クリックしてもらうためにやや過激な表現が好まれる。ネットを見ない人には衝撃かもしれないが、YouTube上ではこれは「ごく普通の」表現だ。ただサムネだけをみて「日本政府がiPhoneを潰そうとしている」と考える人も出てくるだろう。

これまで日本政府は記者たちを記者クラブに囲い込み段階的に情報を流してきた。Controversialな内容であればまずどこかにリークさせ政権の動向を探った上で修正しつつ「〜へ」という記事を流す。

さらにテレビに「一般向けの解説」を作らせる。内容はほぼ宣伝だがメディアは中立であるところを見せるためにスパイス的に批判や懸念を混ぜておく。こうして徐々に変化を嫌う国民に状況を受け入れさせていた。

例えば9月1日を前に「富士山が大爆発するかもしれない」というCGによる報道が流れている。これは石破総理が主導する防災キャンペーンを売り込むためのメディアの協賛である。こうしたメディアの報道は南海トラフ地震への恐怖からコメの備蓄が進み米価を押し上げるほどの刷り込みを高齢者に与えているが、ネットで同じ恐怖心を共有する人は少ないのではないか。

テレビとネットの視聴者が乖離するにつれて「共通の国民世論」を形成するのが難しくなっており懸念も共有されない。

問題はおそらくこうしたネットの声に対しても、総理大臣・総務大臣・経済産業大臣・デジタル担当大臣などがきちんと説明をできるかになってくるのだろう。

しかしそもそもネットを中心に懸念が高まっているという事実を既存メディアが把握し政府・与党に伝えるのは法律の制定直前になるのかもしれない。所管部署は公正取引委員会。つまり内閣府の所属ということになり、担当大臣は赤澤亮正氏だ。関税交渉のあやふやさを見る限りこの人が説明責任を果たせそうには思えない。

仮にこの法律の施行を受けてAppleが機能制限に乗り出せば(そもそも1割しか支持していないとされる)現役世代の政府与党に対する風当たりはますます強いものになるだろうが、シルバー民主主義を支えるメディアのおじいさんたちは「なぜ携帯ごときで騒ぐのか?」というだろうが、AirDropやAirPodsなど若者の普段の生活に関わる機能が多く「石破のせいで使えなくなった」と言われかねない。

プレゼンの中には「(確証はないが)機能を絞ることで世論の反発を狙っているのでは?」と指摘する人もいた。

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