スペインの高速鉄道で39名がなくなる事故があった。日本の新幹線に当たる専用軌道に国鉄車両と私鉄車両が乗り入れている。しかし保守点検については地上設備の会社が別に存在するそうだ。
- スペイン高速鉄道の列車が別の列車と衝突、少なくとも39人死亡 – BBCニュース
- Exclusive: Investigators find broken joint on track at Spanish rail crash site, source says(Reuters)
日本で例えると国鉄が維持されているが、そこに私鉄の新幹線が乗り入れているというような状態だった。今回衝突脱線した車両は私鉄(イタリア系の企業)の持ち物でぶつけられたのがスペイン国鉄の車両。さらにヨーロッパのルールに則って鉄道施設は別の政府系企業が維持整備を担当している。
2023年にギリシャで57人が亡くなる大規模な鉄道事故が起きた。このときは「政府がきちんと投資をしていない」として大規模な抗議活動が起きている。
しかしスペイン政府は巨額の投資を行っており「お金を惜しんでいたから事故が起きた」とは言えないようである。にも関わらず線路の継ぎ目がズレておりおそらく事故の前に生じたものであるということがわかっている。何かがおかしかったわけだ。
つまり政府は巨額投資をしたものの、官僚主義などの弊害(今のところ問題の所在は明らかになっていないが)がありうまく運用されていなかった可能性がある。そこでオスカル・プエンテ運輸相は「列車の操縦ミスのような人為的な問題ではない」が「理由を明らかにできない」という状況に陥っている。
要因としてあげられそうな点が2つある。
- 自由化が進みすぎて管理が行き届かなくなっていた。
- 官僚主義が蔓延し保守点検など見えないコストが軽視されていた
いずれにせよ結果として39名がなくなっており何らかの政治的責任を問われるのは間違いがなさそうだ。
こうした鉄道インフラの問題はドイツでも健在化してる。メルケル政権時代に緊縮財政が進みインフラ投資が行われなかった。さらにここに自由化の波が押し寄せダイヤが過密化している。所々にボトルネック箇所があり遅延が常態化しているようだ。政府はこれを解消しようとして一気に工事を始めてしまったためにさらに状況が悪化した。
日本では国鉄をJRにしたことで地方から路線が消えつつあるという事態が起きている。ヨーロッパの事情を知らないと日本だけが間違ったように思えるのだが、実は東海道・山陽軸をきちんと維持できている(数分感覚で列車が定刻運行されている)という意味では日本は「極めて優秀」と言えるだろう。
ヨーロッパは「もっとエコな交通手段」を「自由化による市場原理でリーズナブルに」という理想を掲げている。しかし皮肉なことにこの理想に現実が追いついていない。結果的にドイツのような列車遅延が起きているばかりか、スペインも悲惨な事故が引き起こされることになった。

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