FCCの圧力によって放送中止となっていたジミー・キンメル・ライブ!が放送復帰した。数々の映画でマフィア役をやっているロバート・デ・ニーロ氏がショートコントに参加し「ご祝儀回」となった。地上波の許認可権限を持つ政府に対抗するようにBBCまでもがYouTubeで放送されていると宣伝に一役買っているのはトランプ大統領にとっても計算外だったのかもしれない。
チャーリー・カーク事件に触れたことでFCCから圧力を受けたABCは「自主的」な放送中止を決めた。親会社のディズニーは感情的な論戦を避けるためと釈明しているが、ディズニー・Huluのキャンセル運動も起きていたようである。
キンメル氏はディズニーと取り決めた「声明」を呼びかけていたが、内容はサブスクをキャンセルした人に復帰のやり方を教えるというものだった。地上波がトランプ政権の圧力と同時に消費者からのプレッシャーを受けており板挟みになっていることがわかる。
復帰第一回ではロバート・デ・ニーロ氏が出演。自分はカー氏に変わる新しいFCC委員長であると主張しマフィアのようにキンメル氏を恫喝していた。もちろん元ネタはテッド・クルーズ上院議員のマフィアのモノマネだろう。
キンメル氏は依然として20%の局がショーをカバーしていないと説明していた。系列局の中には合併承認を控えているところがありFCCの意向を気にしている。トランプ政権の計算外だったのはBBCがYouTubeでもやっていますよと宣伝したという点だろう。
23日の放送回は、アメリカ国内の多くのテレビ市場で、系列局が放送を拒否したため視聴できなかったが、ディズニーのストリーミングサービス「Hulu + Live TV」で視聴可能だった。YouTubeにも掲載されている。
米人気深夜トークショーが放送再開 司会のキメル氏、言論の自由への脅威を指摘(BBC)
BBCのこの援護射撃には別の理由もあるかもしれない。トランプ大統領は国連演説で移民政策を進める国に対して地獄に落ちろと恫喝している。またロンドンのカーク市長のせいでロンドンの法律がシャリアに変わったという虚偽の主張も展開しているようだ。
ジミー・キンメル・ライブ!でも触れられていたように、トランプ大統領はエスカレーターの故障やプロンプターの故障を国連の機能不全と結びつけている。だが実際にはトランプ大統領が出資を縮小したことで国連の予算の大きな影響が出ている。
単にヨーロッパを敵視するだけでなく虚偽の主張で内政干渉を繰り返すトランプ大統領に対する敵意が高まっている。
- トランプ氏、「シャリア法移行」と国連でロンドン市長を批判 ロンドンは「偏見には回答しない」と(BBC)
- トランプ氏の国連演説 国連批判と説教と自慢(BBC)
- 【解説】 6年前、トランプ氏の発言は国連で笑われた 今年はみんな沈黙した(BBC)
アメリカ国内ではとにかくトランプ大統領に恥をかかせないように入念な準備が行われ、まるで新興宗教のようにトランプ大統領を称える信者たちが彩りを添えている。しかしそれは所詮「現代のメガチャーチ」の中だけのこと。これが却ってトランプ大統領を苛立たせている。「メガチャーチ」の外に魔法を持ち出せないからだ。
プロンプターの件も国連の機能不全ではなくホワイトハウススタッフの操作ミスだったと国連は反論している。
会場の外でも過剰な忖度が行われトランプ大統領優先の交通規制が行われたようだ。これにマクロン大統領が巻き込まれた。マクロン大統領はカメラの前でトランプ大統領に直接電話をかけてクレームを入れていた。
