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ゲーム理論的に「勝ち筋」が見えてきた国民民主党

7〜10分

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玉木雄一郎氏に勝機が見えてきた。不確実性が減ったためゲーム理論的に言えば「連立政権に入らず面倒な問題を自民党に押し付ける」のが利得が高くなる。自民党が大きくこけれれば取って代わればいいだろうから、それまで「失点」を重ねないことが重要だ。

玉木雄一郎氏にとってこれはどんなゲームなのか。

自民党は協力相手を探しているが、国民民主党と維新が「天秤」にかけられておりキャスティング・ボートが握りにくかった。ところが菅義偉氏が党内政争に負け、奈良県知事選挙で「県知事を取られた」高市早苗総裁が誕生し、公明党が連立離脱までほのめかして維新との協力を拒んでいる。つまり、国民民主党は「連立」という共同責任を取ってまで政権に加わる必要がなくなった。

今回の総裁選挙とその後を考え合わせると有権者は次のようなマインドに陥っているものと見られる。

  • 有権者は今のインフレにうんざりしており政府が自分たちの生活を助けてくれることを期待している
  • とはいえ有権者は面倒なニュースを理解するつもりもない

さらに宮沢洋一氏が「悪役(ラスボス)扱いされるくらいならもう自民党の税制の問題は見ない」と宣言。経験の少ない小林鷹之氏が政調会長になることを考え合わせるとおそらく予算編成は財源論を中心にかなり混乱するだろう。

さらに都合がいいことに萩生田光一氏が幹事長代理に就任する。「政治とカネ」で反省しない自民党の象徴のような人物。立憲民主党が自民党と接近することもなくなった。

とにかく自民党は公明党と国民民主党にすがる以外に選択肢はないのだから面倒な財源論はすべて高市新総裁に押し付けて「注文」だけをつけたほうがトクというものだ。高市早苗候補は成長のマスタープランを持っておらず「財務省の提案」に期待している。要は丸投げしているのである。宮沢洋一税調会長がさじを投げても当然の状況なのだ。

私は財政健全化が必要だということを一度も否定したことはございません。大事に決まってます。大切なことは成長することであって、財政健全化そのものが目的じゃない。日本の財政当局、財務省には是非ともこれをやったら成長します、経済規模が10年で倍になりますよいうぐらいのマスタープランを示していただきたいと思ってます。

自民党総裁選に出馬表明!高市早苗氏のプロフィール、政策は?【総裁選2025】(選挙ドットコム・ヤフーニュース)

さらに連合が国民民主党の閣内入りに反対している。組織が与党と野党で別れることを警戒しているのだろう。玉木雄一郎氏が組閣に参加すると連合が離反する可能性がある。

玉木雄一郎氏は「どうやったら対話相手(この場合は有権者)を喜ばせることができるか」に非常に長けた人物。有権者の間に将来懸念疲れが起きていることもきちんと認識している。円安も金利高騰も国民にとっては懸念すべきニュースだが「全てが上る!」と表現している。

経済がわからない玉木雄一郎氏の得意先は「なんかよくわからんが矢印がすべて上向きでめでたいニュースなんだろう」と思うのではないだろうか。景気のいいニュースに多くの「イイネ」がついているのが印象的である。

日銀総裁が労働供給制約を懸念していることを玉木雄一郎氏も理解しているはずだ。つまり高市氏の政策が当たると日本はかなり高い確率で高いインフレに悩まされる。すでにTACO(Takaichi Always Chickens Out)という観測も出ているそうだが、その時には「それ見たことか」と騒げばいい。

なおメディアによると高市氏と玉木氏は5日(日曜日)に会談を行っていたそうだ。毎日新聞は密会と書き、朝日新聞も極秘会議だったと報道している。