トランプ大統領が核実験の再開を指示し波紋と混乱が広がっている。今回はこれをきっかけにしてトランプ大統領の戦略の基礎とその帰結について考える。このエントリーで整理するのはロシアとイスラエルである。トランプ大統領の戦略に似ているような気もするし「なにか違う」気もする。そこでChatGPTに質問してみた。
生き残りを欠けた存在ゲームと言う違いがあるそうだ。
トランプ大統領の思考については別のエントリーで整理した。混乱を作り出し短期的な利益を狙う手法だ。ただし副作用もある。1回限りのゲームでないと理解されると揺り戻しが起き、1回限りのゲームであると理解されないと囚人のジレンマが起き全体の利得が低減する。
トランプ大統領は多国間協調を嫌う。これまで「トランプ大統領の性格によるものだろう」と考えてきたが、トランプ戦略が成り立つための成立要件だったようだ。また金利が安い資金源を欲しがるのもトランプ式ゲームが成り立つための前提条件なのだという。意外とゲーム理論だけで整理できてしまうものだなと感じた。
では、ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相もこの1回限りのゲームを楽しんでいるのだろうか?
確かに国際関係が1回限りのゲームに傾斜する中でプーチン大統領やネタニヤフ首相に有利な条件が生まれていることは間違いがなさそうだ。ルール破りによって利得を得ることができる。
ChatGPTはゲーム構造を次のように整理する。現在は将来得られる収益よりも現在得られる利得のほうが大きくなっていることがわかる。
未来の利得(協調による長期安定)×割引率δが、今裏切って得られる利益を上回る場合にのみ協調が成立します。
つまりゲームに勝ちやすくなっているわけだが、プーチン大統領とネタニヤフ首相のゲームはトランプ大統領のゲームには決定的な違いがあるそうだ。
プーチン大統領の支持は利得ではなく歴史的使命感に依存しておりネタニヤフ首相は自分に対する政治攻撃に対する危機管理という側面がある。トランプ大統領は勝てるゲームだけを選択すればいいがプーチン大統領やネタニヤフ首相が今の地位を守るためには勝ち続けなければならないという事情がある。
これをChatGPTは取引ゲームではなく存在ゲームであると整理する。つまり1回きりの危ういゲームを永遠に勝ち続けなければ消えてしまうという「やむにやまれぬゲーム」である。
これを整理するとトランプ大統領はまだ合理的なゲームを展開しているがその副作用として「やむにやまれぬゲーム」が引き起こされようとしているということになる。
事態のエスカレーションはすでにヨーロッパの軍事費を押し上げている。つまり成長の機械損失が起きている。おそらく日本も防衛費の応分の負担を求められるようになるだろう。
こうした状況がトランプ大統領一人によって引き起こされたなどと主張するつもりはないがトランプ大統領が引き起こした短期的な非協力ゲームによって我々一人ひとりの生活に少なくない損失を与え始めているというのもまた確かなことなのである。
