9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


ギニアビザウでクーデター

6〜8分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

ギニアビザウでクーデターが起きた。大統領選挙の結果が発表される前日に軍隊が乗り込んできて現職大統領を拘束している。しかし、詳細はまだ明らかになっていない。野党サイドは狂言クーデターを疑っているようだ。

ギニアビザウは西アフリカにある旧ポルトガル領の小国。人口は200万人程度で面積は九州程だ。小さい国ながら交易結節点に当たるために様々な民族が共存している。ポルトガルは商業収奪の拠点としてしかみていなかったためエリート層も育たなかった。このため統治機構が発達せず結果的に軍隊の力が強くなっている。さらに結節点だった歴史も裏目に出ている。今や中南米からヨーロッパに向かう麻薬の中継基地になっていて麻薬マネーで政治家や軍人たちが動いているようなのだ。

ギニアビザウはECOWASの加盟国だがECOWAS加盟国は近年軍事クーデターで次々に政権が代わり脱退する国(マリ・ブルキナファソ・ニジェール)が増えていた。

ギニアビザウ自身の旧宗主国はポルトガルだが経済的にはCFAフランを通じてフランスとの関わりが強い。しかしフランスの関与は主に経済的なものだけ。近年はフランスのアフリカに対する関心は弱まっていた。代わりにロシアの関与などが指摘されるようになっている。

しかしながら、ギニアビザウの場合にはこうしたロシアの関与は確認できない。統治機構が弱いために近隣から麻薬が集まる。その麻薬マネーに政治家たちが群がるという構造がある。

支持基盤が脆弱なエンバロ大統領は選挙を先延ばしにしてきたがいよいよ選挙を実施せざるを得なくなった。結果的に野党候補が勝利宣言を行う。いよいよ選挙結果が明日発表されるという矢先に軍隊が乗り込んできて自分が暫定大統領になると宣言した。

しかし情報が限定的で何が起きたのかはよくわかっていない。日本では読売新聞が伝えているがREUTERSの引用報道。

ギニアビサウでクーデターか、軍幹部が権力掌握宣言 大統領拘束(REUTERS)によると

  • 23日に大統領選挙が実施され27日に結果発表が予定されていた
  • 軍将校らが国営テレビで声明を流しエンバロ大統領を追放し選挙手続きを停止した
  • 選挙は一部の政治家と国内外の有名な麻薬王によって操作されていたと主張した
  • 野党のディアス氏は「クーデターは狂言で大統領は安全な場所にいる」と主張している
  • ギニアビザウでは1974年から9回のクーデターが起きている

ということになっている。

アル・ジャジーラによる追加情報は以下の通り。

  • ホルタ・インタ=ア将軍が1年間暫定大統領に就任
  • クーデターは選挙結果発表の数時間前
  • 与党も野党も勝利宣言していた
  • ギニアビザウはヨーロッパとラテンアメリカの麻薬中継基地
  • 報道は禁止され夜間外出例も発出
  • ディアス氏とドミンゴス・シモエス・ペレイラ氏も逮捕された
  • 現職のエンバロ氏も元陸軍将軍
  • このため野党勢力が狂言クーデターであると疑っている

とにかく麻薬マネーが物を言う国になっているが、野党が勝ってしまうと既得権益構造が崩れる可能性が高まる。だからこそ「既得権側が狂言クーデターを起こす」可能性が高まる。しかしながらアル・ジャジーラは長年の政治闘争に疲れた軍が70%の貧困層を助けるために事態打開に走ったという可能性も排除していない。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで