リベラルについて書いたエントリーで「組織票」についてまとめた。時事通信の記事には当然ながら自民党系の組織票についても言及がある。なぜか特定郵便局だけが48万票と言う突出した集票力を見せている。
その他の団体は軒並み20万票以下にとどまっており、日本の選挙が組織型から無党派層依存になっていることがわかる。リベラル勢力の結集などありえないと書いたのはここが根拠になっている。組織票が減る中でそれを補うための無党派票を奪い合う構図がある。
2009年の選挙で下野した自民党はひと足早く組織票の崩壊を経験しておりそれを補うためにオタク票とネトウヨ票に頼ることとなった。
では、今回彼らはどう動いたのか。
共産党と公明党は高齢化が進行している。一人のお年寄りがお友達に声をかけるというシステムのため1名が選挙から撤退すると急速に集票力が落ちる。この先公明党は徐々に連立政権の中で存在感を失ってゆくだろう。池田大作を超えるカリスマがいない創価学会・公明党は連立政権の中で電池が消耗するようにして消耗していった。
それぞれの政党の組織票の低迷について調べたので、では自民党の組織票はどうなったのだろう?と興味を持ち2019年と2025年を比べてみた。同じ候補者の比較ができる。
特定郵便局は600,189→475,151と票を減らしているがそれでも48万票近くあるのだと驚いた。地域の核になっているということなのかもしれない。
医師会は152,807→169,967で逆に票が増えている。ただ「自民党内部で絶大な支持がある」とされる割にはこんなものなんだなと思った。医師会は会員数17万人だそうだ。会長選挙は2年に一度。2022年には「中川会長がクーデターで再選を阻まれた」などと書かれているので2020年の選挙では一定数の離反者が出たということなのかもしれない。
組織票が減る中で自民党が頼ったのが「保守」と「表現の自由」だ。わかりやすくするためにネトウヨとオタクとする。
まずオタク票だが、山田太郎氏が540077→369038になった。かなり減っているという印象だがそれでも郵便局を除く組織票よりも塊としては大きい。減った票がどこにいったのかはわからないが「表現よりも生活」で他の政党に流れたのかもしれない。
一方でもっと悲惨だったのがネトウヨ票だ。
佐藤正久さん(237432→124,118)、杉田水脈さん(衆議院比例のため比較なし→74449)、和田政宗さん(288080→62145)と票を落としている。この三人はいずれも落選。
あくまでもネット情報だが佐藤さんは自衛隊の自主的支援(政治運動はできないはずなのでこう書かないと色々差し障りがありそうだ)を受けているとされているそうだ。現在自衛隊員の数は24万人だという。
杉田水脈氏は度重なる人権軽視の発言にもかかわらず比例名簿に載り批判が高まっていた。しかし、もっと過激な主張をする参政党には勝てなかったのではないか。山口県連が杉田氏を組織的に支援していたそうである。
最も影響を大きく受けたと考えられるのは和田政宗さん。前回は組織候補よりも多くの票を集めていた。組織票が目減りする中で自民党がどれだけネトウヨ票に期待していたのかがよく分かる。
組織票が減りこれまで自民党を支えてきた高齢者も減ってゆくことが予想される。ここまで右傾化が可視化されてしまうと、おそらく自民党はこの人たちをなんとかして自民党の中に取り込みたいと考えるはずだ。現在、参政党が右傾化していると懸念を集めているが実際に心配なのは自民党の右傾化なのではないかという気もする。
ネトウヨ票が離反した背景にあるのは清和会の凋落・宏池会(岸田総理)の政権奪還だろう。そのあとを引き継いだのがリベラル色が強いとされる石破総理だった。つまり自民党の中で左シフトが起きていたということ。これが失敗したということがわかっているのだから、総括をすれば自ずと右回帰するはずなのだ。
