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イランの死者が500人を超え、トランプ大統領が前のめりに

9〜14分

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イランの死者が500人を超えた。トランプ大統領はこの混乱を選挙に利用できないか考え始めている。

最新情報ではイランの死者が500名を超えた。抗議者が490名、当局48名がなくなっている。また逮捕者は1万600名。当局は彼らをテロリストと呼び極刑も辞さない考えだ。

アメリカの制裁により通貨リアルが崩壊過程にあったイランではペゼシュキアン大統領がアメリカとの融和を通じて状況を改善してくれるのではないかという期待があった。しかし実際にはイスラエルがイランを攻撃しトランプ大統領もイランとの対話に積極姿勢を見せていない。この絶望が今回の抗議運動の背景にある。

トランプ大統領は「抗議運動を抑圧すればイランを攻撃する」と示唆していた。しかし抗議運動が激しくなると、助けを求める元王太子から距離を置いている。しかしながら抗議運動が激化すると次第に「この抗議運動を自分の成果に見せるためにはどうすればいいのか?と考えるようになってきているようだ。すでに大統領には複数の選択肢が示されたとする報道もある。

Trump considers options as Iran cracks down on protests(Axios)によれば次の通りになる。元々軍事オプションも検討されていたようだが今検討されているオプションは非軍事的なものになりそうである。ただし、トランプ大統領がどの選択肢を採用するかは予測が難しいと考えられている。

この一連の出来事から、トランプ大統領は自分の成果を得るためにもっとも安上がりな方法を選択していることがわかる。

イラン介入への意欲は「西半球帝国」というこれまでの仮説を棄却している。つまりアメリカ合衆国が帝国主義を志向しているという仮説は棄却される。ビジネスディールだという仮説も正しくないようだ。トランプ大統領はベネズエラの石油を現金化する手段を持っておらず、単に大手石油会社の参加に期待しているだけである。

一方で次の攻撃先としてはメキシコ(トランプ大統領は軍事オプションを排除しなかった)、コロンビア、キューバ等が挙げられている。

Trump threatens Cuba: Negotiate “BEFORE IT IS TOO LATE”(Axios)によるとキューバについては次のように発言している。

コロンビアへの要求を弱めグリーンランドでは同盟国からの反発に直面したため、今度はSNSで「キューバは手遅れになる前に交渉するように」要求した。また「ルビオをキューバの大統領にすべきだ」というXの投稿をシェアしている。

つまりトランプ大統領は選挙キャンペーンと国家運営の境目が極めて曖昧になっており「いいね」を得るために恫喝を繰り返し、これを国際社会は「アメリカが帝国主義に陥る傾向」とみなしていることになる。

現代の形の民主主義・資本主義社会が安定しているのは実は一般大衆が政治に興味を示していないからだ。民主主義を実際に運営しているのは資本家や企業などのエスタブリッシュメントであって国民は「蚊帳の外」に置かれているのが正常な状況である。ところが格差が拡大し民衆が資本主義・民主主義の配当を得られなくなると「何かがおかしいのではないか」と政治に興味を持ち出す。さらにSNSがそれを可視化する。すると言論空間が荒れるので「非民主的なモデレーション」が必要になる。つまり民主主義を守るために非民主的な空間が必要になる。

これまでの資本主義・民主主義は「成長幻想」によって裏打ちされてきたが、この物語の賞味期限が切れかかっているため別の物語が必要になる。語り部としてのトランプ大統領はこの代替的な物語の提示に失敗しており社会は大きな混乱状態に陥っている。

一方フランスのように社会保障の財源が維持できなくなっている国もある。フランスも政治が混乱している。

フランスの民主主義は財政を支えきれなくなり内部崩壊の危機にあるが、アメリカ合衆国は逆に外に向かって膨張している。ベネズエラという成功体験が刺激となったが手に入れた資産を活用できるわけではないので次から次へと新しいターゲットが必要になる。おそらくこれが止まるのは「国際社会の規範に逆らった」ときか「軍事的なオプションが大混乱したとき」だろう。これはどことなく日本の中国大陸進出に似ているのだが、構造は大きく違っている。

アメリカ合衆国はフランス型の内部崩壊か外に向かっての拡張かを選択した時期があった。共和党は内部崩壊を恐れ民主党が主張する医療・福祉の削減を訴え、民主党は逆に共和党の軍事オプションを縛ろうとした。バイデン政権が失敗したときに内部崩壊オプションは消えた。そしてトランプ大統領が1年間欠けて様々なナラティブを試した。しかしこれらのナラティブはことごとく失敗した。アメリカは機関的統制が強すぎたのだ。その中で唯一残ったのが外に向かって拡張する軍事オプションだった。つまりこれはアメリカの民主主義・資本主義の崩壊過程なのである。

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