そもそも大統領に目算がないとなると、国防総省も何も説明できない。だから国防総省は「戦争のゴールを知っているのは大統領だけ」と認めてしまった。さらに議会に対して「差し迫った脅威はなかった」と説明したようだ。つまり、トランプ大統領の「差し迫った脅威があった」という説明も否定してしまったのだ。国防総省と軍は明らかに混乱している。事態の深刻さがよくわかっているのだろう。
当ブログは一貫して「この軍事作戦はイスラエルに煽られている」とのポジションを取っている。アメリカ合衆国が主体的に動いているならば、おそらく周囲がきちんとした説明を作っているはずだ。さらにサウジアラビアも、実はアメリカ合衆国を煽っていた可能性が出てきた。
サウジアラビアがトランプ大統領を煽っていたというのは、ワシントン・ポストのリークなので、おそらく情報源はアメリカの官僚システム(国防総省か国務省)である。当初、成果を強調したいトランプ大統領が大きく前に出ていた。つまり、アメリカ主導と国内外に認識される可能性があった。官僚システムが「実は自分たちが始めた戦争ではありませんよ」と自己正当化を進めている可能性がある。
また差し迫った脅威はなかったと議会に説明しており、これはトランプ大統領の主張と完全に食い違っている。国防総省はトランプ大統領を守るつもりはない。自分たちのキャリアのために従っているに過ぎないのだ。ただし戦争権限法に従う必要があるため「いつ終わりになるかわからないが(それは大統領が決めることなので)議会の承認は必要ない」と読み取れる説明をしている。
Axiosはトランプ政権内の混乱の記事を3つに分けている。つまり批判することなく「トランプ大統領の主張に裏打ちがない」と示せる意図的な編集が行われている。バラク・ラビド記者の記事を合わせると「トランプ大統領がイスラエルに煽られていた」ことも分かる。表立って批判はしておらず、トランプ大統領にとっては残酷な構成だ。
- トランプ大統領の主張:Trump says war against Iran moving “substantially ahead” of schedule
- 軍の主張:Top U.S. general says it will take time to achieve Iran war goals
- アメリカの経済に対する影響:Iran conflict could worsen America’s affordability crisis
ABCニュースによると、トランプ大統領は依然「歴史的な偉業を成し遂げた」と高揚しているそうだ。トランプ大統領はおそらくハメネイ師を殺害したことが「ゴール」だと思っているのだろうが、彼は単にパンドラの箱を開けたに過ぎない。BBCの報道によれば、イラン側はポスト・ハメネイ体制をある程度準備していたようである。アメリカ合衆国とは決して交渉しないと言っている。宗教指導者が殉教下にもかかわらず白旗を上げる選択肢などない。そしてアメリカ合衆国の政府関係者もそれはよくわかっている。「体制転換はないだろう」としている。
- Iran operation could last weeks, Trump tells ABC News, saying of Khamenei, ‘I got him before he got me’(ABC News)
- 【解説】 イラン政権は依然存続、今後数日で持続の可能性が明らかに(BBC)
- 米当局、ハメネイ師殺害後もイラン体制転換に懐疑的=関係筋(REUTERS)
- イラン高官、米国とは「交渉しない」(CNN)
トランプ大統領は国内でも問題に火を付けて中途半端な状態で撤退することを繰り返してきたが、国際社会は容易には忘れてくれないだろう。さらに国際社会どころかアメリカ政府も大統領を信じていない。
さらにホルムズ海峡の混乱が長引くと、世界経済に大きな影響が出る。成長率ではなく、インフレに悪影響が出ると言われている。サウジアラビアなどは石油増産を決めたが、インフラが破壊され、ホルムズ海峡が封鎖されると、そもそも増産した石油を外に持ち出せなくなる。つまりトランプ大統領は、ホルムズ海峡の警備を続ける必要があるのである。
本日は記事をサウジアラビア、トランプ大統領、アメリカの軍官僚機構、日本の視点からまとめている。その他の立場については扉ページからご参照いただきたい。

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