9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


アテにならないアメリカと何をしでかすかわからない中国に挟まれた日本

7〜10分

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ヘグセス国防長官がシンガポールのシャングリラ対話で同盟国に対してGDP比5%の引き上げを求めた。アメリカは中国が2027年までに台湾を武力で屈服させるであろうと見ているという。

しかし日本はアベノミクス処理の失敗でコストプッシュ型のインフレに見舞われており防衛費を大きく上げるような余力はなさそうだ。

何をしでかすかわからない中国とアテにならないアメリカに挟まれる日本の苦悩はしばらく続きそうだ。

ヘグセス国防長官は中国の脅威を念頭に同盟国に対して5%の防衛予算引き上げを求めた。アメリカ合衆国は同盟国を見捨てないとし「アメリカは力で同盟国を屈服させることはない」と自発的な変化を求めている。

アメリカ合衆国は習近平国家主席が人民解放軍創立100周年である2027年までに台湾に武力侵攻するのではないかと見ているようだ。そして台湾が中国を挑発するのを待っているという。

確かにロシアのウクライナ侵攻も突然始まっており「まったくないシナリオ」と断定することはできない。

しかしながら、トランプ政権誕生後(実は1月20日に始まってから数ヶ月しか経っていない)後のアメリカ合衆国を見ているとまるで文化大革命を思わせるような価値の闘争が起きており大統領令の乱発も独裁国家的に見えてしまう。

またFOXニュースの司会者上がりのヘグセス国防長官には機密情報を杜撰に扱っていると言う疑惑も出ている。こうした背景事情を考えると「アメリカ合衆国を信頼しても良いものだろうか」という気持ちになってくる。

加えてトランプ大統領の同盟国敵視も見て見ぬふりをするにはあまりにも大きなものになっている。アメリカ合衆国の政治の不安定化は日本の政治においては部屋の中の巨像に育っている。

ヨーロッパをことさらライバル視する一方で石破政権の交渉を無視し一方的に鉄鋼関税を50%に引き上げた。日米欧で協力して共存共栄の経済圏を維持しようとする気持ちはまるでないようだ。

日本の防衛政策も行き詰まりつつある。安倍政権は盛んに「憲法を歪めてでも集団的自衛権を認めれば結果的に一番安価でオトクな日米同盟が維持できますよ」と宣伝してきた。しかし結果的に第二次トランプ政権は日本に対して様々な形で負担を求めおり、このセールストークは詐欺的だった。

中谷防衛大臣はすでに国民に対して何も説明できなくなっている。政権に対する優しさに包まれたメディアはスルーして伝えているが、日米同盟に強い関心を持つ読売新聞は「防衛費要求の有無は明らかにしなかった」としている。

ないなら「ない」と言えばいいのだからおそらく何か言われたのだろう。

では日本の有権者はこの状況にどう対応するだろうか。不安を感じると「言い換え」に依存し、目の前の現状変化を直視するのを拒む傾向にある。中国に対する不安を払拭するために殊更日米同盟の有効性を喧伝してきた人たちはトランプ政権の変質に対して黙り込み沈黙を貫いている。このまま思考停止してしまい何ら意思決定をしないのだろう。

ただしこれを「いずれは過ぎ去ってしまう嵐」と捉えてはならない。

アメリカ合衆国の国際政治への関心の希薄化は1980年代に始まったトリクルダウン政策の最終的な破綻を意味している。

エマニュエル・トッドのように「すでにアメリカはロシアに対して敗北した」「トランプ政権の誕生はソ連崩壊後と同じ状況なのだ」と説明する人もいる。

一つのエポック(時代)はすでに終わってしまった。

トッドはヨーロッパはまだ敗北を受け入れることができておらずロシアとの戦争にアメリカが介入し続けることを望んでいる言っている。日本に対しての言及は避けているがおそらく日本人も変化してしまった現実を受け入れない可能性が高いのではないか。

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