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結果的に「円安も金利上昇も」だった 日銀が政策金利を0.75%に

7〜11分

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日本銀行が政策金利を0.75%に引き上げた。「円安容認」か「金利上昇」かの二者択一になるはずだったが実際には円安と金利上昇が一度に起きている。ちなみに日銀は表向き為替について触れることはできないことになっている。

REUTERSは「植田総裁はタカ派的だった」と書いている。これを裏付けるように長期金利は心理的ラインだった2.0%を越えた。植田総裁は最終ゴールである中立金利を明言しなかった。しかしなぜか円安も進んだ。

日銀の政策決定会合を受けて長期金利が心理的ラインである2%を越えた。

中立金利を明確にせず「距離がある」としたのは中立金利を明確にすると機械的にあと何回利上げができるかが計算できてしまうからである。植田総裁は円安による物価上昇(「為替操作国」認定されかねないため、中央銀行としては為替水準に言及してはいけないことになっている)よりも「利上げ」を選択したことになる。

しかし結果的に円安に動いた。

日本としては相当思い切った利上げ決定だったわけだが世界的に見れば「まだまだ金利低い水準」にある。安心して円キャリートレードが行える状況だ。日本銀行の政策決定はあくまでも現状の受認であって後追いである。

しかし何かを変えたことでこれまでの均衡は崩され新しい均衡への再計算が始まった。日銀は「変えたことで変化を誘発した」として社会的に批判されかねない。

日本は責任を取って動いた人が実名で名指しされ批判される社会だ。このため誰も先んじて動くことがペナルティを伴うリスクと解釈され、誰も責任を引き受けなくなる。

アベノミクスは円キャリートレードという副作用を生み、これが物価高となって国民生活を苦しめている。いまや73%が物価は悪い方向に向かっていると実感しているそうだ。しかしながら総括をすると批判されるためアベノミクスは総括されていない。代わりに「コロナやウクライナという天災」で状況が変わったから総括どころではないと説明されている。この天災利用も日本ではよく起きる。

誰も責任を取らず主体的に動かないという文化的態度は日本社会が自ら選び取ったものだが、大量の「フリーライダー(責任を取らない人)」を生んでいる。責任を取らず黙って他人を批判したほうが有利という社会。

片山財務大臣と高市総理大臣は現在の金融市場動向に危機感をもっている。一方で高市総理大臣は安倍路線の継承者であるというブランディングも行っており、政府の中には城内実氏ら積極財政派が多く存在する。

城内実氏は「何かあったら日銀がきちんと説明しろよ」と表明した。政府は説明するつもりはなく日銀に説明責任を押し付けようとしているのである。

城内氏は「今後の強い経済成長と安定的な物価上昇の両立の実現に向け、引き続き適切な金融政策運営が行われることが非常に重要だ」と強調。その点を踏まえ、日銀には「今回の政策変更の趣旨を対外的に丁寧に説明いただきたい」と語った。

日銀の利上げ判断は尊重するが、景気の先行きには注視必要=城内経済財政相

こうした誰も責任を取らない社会は日本の憲法秩序まで変えつつある。維新は内閣に入らない「連立政権入り」を果たしたが今度は国民民主党を仲間に引き入れようとしている。国民民主党は高市総理の人気が高いうちは「なんとなく与党」として振る舞うだろう。

これを既成事実化しているのは皮肉なことに立憲主義を大切にすると言っている立憲民主党だ。彼らも「立憲主義」が何なのかよくわかっていないようだ。日本国憲法は内閣が連帯して主権者たる国民の代表である議会に行為責任と説明責任を果たすように要求している。つまり内閣に代表を送らずにメリットだけを追求する政党はすべてフリーライダーなのだが、野党筆頭の代表者もそれがよくわかっていない。自分たちもフリーライダーになりたいからだろう。

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