石破総理とトランプ大統領が会談を行った。赤沢担当大臣もG7までに関税を撤廃してもらうと意気込んでいた。では結果はどうだったか。鉄鋼関税は2倍の50%になった。石破政権はトランプ大統領から全く相手にしてもらえていなかったのだ。
石破政権がトランプ大統領の眼中にいないのか、石破政権の交渉がやぶ蛇だったのかはわからないが経緯だけをまとめておきたい。
石破総理とトランプ大統領が電話会談をした。こうした会談はアメリカに合わせて行われることが多く石破総理は寝不足が続いているそうである。赤沢経済再生大臣はその後の閣僚級会談で日本はG7までに関税撤廃を求めてゆくと表明した。今回はラトニック商務長官に加えてベッセント財務長官も参加しており「建設的な会談だった」と成果を強調している。
ところが結果的にこの会談には何の意味もなかった。
トランプ大統領にとって政治はリアリティーショーである。USスチールに出向き日本製鉄の森高弘副会長の前で日本製鉄は多額の投資はするが所有権は持たないと発言している。そしてこれは森氏の長年の構想だったと主張したそうだ。
さらに労働者は守られると宣言しその根拠としてアメリカ合衆国に輸入される鉄鋼に50%の関税をかけると発表した。
ABCニュースはトランプ大統領の発言は自分の交渉の巧みさをアピールする手段担っているが具体策が全く含まれていないと今回の発表を問題視している。
一部ではアメリカ政府が「黄金株」を持ち経営に拒否権を発動するのではなどと言われている。もちろん、こうしたやり方はアメリカ特有のやり方とは言えない。ニーダーザクセン州にはフォルクスワーゲン法という法律があり地方政府と労働者が協力している。
このフォルクスワーゲン方式は長年ドイツの労働者にとってはメリットが大きかった。しかし中国の自動車メーカーの台頭により高コストに耐えられなくなりつつある。フォルクスワーゲンはドイツの向上を支えきれなくなり工場が丸ごと消えてしまう可能性も浮上しているそうだ。
日本製鉄はそもそも高コスト化しているUSスチールに技術移転をするインセンティブはない。せいぜいトランプ大統領に睨まれないようにアメリカ合衆国への積極投資を約束して4年間を凌がざるを得ない状況だ。
一方で石破政権は全くアメリカ合衆国への交渉力を発揮できていないことも明らかになった。ベッセント財務長官やラトニック商務長官に何を差し出しても無駄というものだ。さらにいえば今のアメリカ合衆国には同盟国と共存共栄しようという意思は感じられない。
自民党政治の根幹になっていた「黄金の日米同盟時代」はひとまず終わりを迎えようとしている。自民党政権はアベノミクスの処理にも失敗し、米価すらコントロールできてない。
ただし国民の間にも下手に今の状況を動かして社会保障が破綻しても困ると言う気持ちがあり、また自分たちが困窮しているとはどうしても認めたくないと言う事情がある。こうした現状否認欲求こそが今の自民党政権を支えていると言えるのかもしれない。
