トランプ大統領がオバマ大統領夫妻を類人猿に例えたビデオをSNS上で拡散し112時間後に撤回した。これは非常に危険な兆候であると感じる。共和党は今すぐ認知問題を認めるべきだ。なぜなら、トランプの発言はもはや戦略的ではなく、制御不能だからだ。つまりこのままでは共和党は確実に2026年の選挙戦で負けてしまう。
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本稿でいう「管理された不規則発言」とは、意図的に計算された過激発言であり、支持層の動員を目的とした戦術的行動である。一方、「衰えによる不規則発言」とは、判断力や統合能力の低下によって生じる制御不能な発言を指す。
ではなぜ今すぐ認めるべきなのか。これを前提、失敗の実例、兆候の順番で確認してゆく。
前提:管理された差別
おそらく共和党が認めにくいのは「共和党が管理された差別」を使って選挙戦を有利に進めてきたという暗黙の前提だろう。サイレントマジョリティが不満を鬱積させる中で人種差別が集票につながることは明らかだが、これまで共和党は管理された安全な人種差別を利用してきた。ターゲットになるのはソマリア系移民など「民主党地域に住む非アメリカ人」だった。しかし今回は「黒人全体」の差別容認につながりかねない。だからこそ共和党の議員も含めて超党派の反発があった。つまり管理された差別が管理されない差別に転換しつつある。喩えるならばボヤではなく山火事になろうとしている。
失敗の実例:バイデン大統領の選挙キャンペーン
加えてバイデン大統領時代の失敗もある。バイデン大統領の衰えは選挙戦の序盤からわかっていたようだ。しかしアメリカ合衆国では「政治家の高齢化」はかなり取り扱いが難しいテーマでである。このためスタッフたちは問題を認識しながらもバイデン大統領を表舞台に登場させ続け、ABCデビッド・ミューアー氏での大惨事に繋がっている。バイデン大統領の衰えはわかりやすかった。しかしトランプ大統領は元気が有り余っておりとても衰えているようには見えない。にも関わらず、やっていいことと悪いことが分からないという「かなり評価が難しいタイプ」の問題を抱えている。
すでに現れつつある兆候
CNNは選挙国有化問題において「レビット報道官が釈明をしても、それに被せるように問題発言を繰り返す」管理不能になりつつあるトランプ大統領の姿を記述している。次第に釈明が難しくなっていることが分かる。
このCNNの記事は「リベラルの反トランプキャンペーン」として軽視されるだろうが、トランプ大統領の失言はむしろその後の処理に大きな問題を抱えている事がよく分かる実例だ。
今回の人種差別ビデオが出た後のトランプ大統領の釈明も「大騒ぎになった」事はわかっているようだが、一体何が騒ぎになったのかがわかっていないようだ。問題が認識できないので「全部を見ていないからビデオに何が含まれているのか私は知らない」「スタッフが勝手にやった」と言っている。目の前にあるものにマッチを擦ったらなぜか火が出た。そこで大慌てしている。頭の中にあるのは「自分は悪くない」という自己正当化の意志だけだろう。
人は問題解決と意思決定のために問題を統合する必要がある。ところが何らかの理由で認知機能が衰えるとこの統合能力が落ちてくる。
それを示すエピソードがREUTERSにも出ている。ベッセント財務長官はトランプ政権は強いドル政策を維持ししており魅力的な投資先であると訴えた。アメリカ合衆国が魅力的な投資先であるためにはFRBの独立性が維持されていることが重要だ。しかしトランプ大統領は新しい議長予定者(ケビン・ウォーシュ氏)を訴えるかもしれないという。
しかしベッセント財務長官はもはやトランプ大統領の発言をフォローアップすることができなくなっているため「あれは冗談だった」と釈明する他なかったのである。
共和党は今すぐ対策を講じるべきだ
民主党の攻撃をかわしつつトランプ大統領の不規則発言をどうコントロールしてゆくかという点に共和党の難しさがあることはよく分かる。アメリカ合衆国の政治言論は二極化しており、様々な意見がノイズが飛び交う中で問題を2026年11月までの限られた期間の中で軟着陸させなければならない。
しかし共和党議員にとって重要なのは自分たちの議席である。これまではトランプ大統領の個人的な人気と「管理された放火」によって保証されてきたその椅子が本当に2026年11月まで安泰なのかをよく考えたほうがいいのではないか。共和党の議員たちは今すぐ「正しい行動」を起こすべきだ。

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