NY市場で株価が急落している。今回はVIXが上昇しているのが特徴で「何らかの理由で市場が警戒モードに入った」ことを示している。今後VIXが新しい状況で定着し株価が段階的に下がってゆくことと、実際になんらかの行動を起こす必要があるだろう。
その一方でこれはトランプ大統領のセカンドキャリア(アメリカ大統領の次は世界大統領)を抑止する材料になるのかもしれない。つまりまた新しいTACO相場が生まれる可能性もゼロではない。
REUTERSが「米国株式市場=大幅続落、ダウ一時700ドル安 トランプ氏の対欧関税で心理悪化」という記事を書いている。背景あるのはダボス会議での欧米関係の激化である。
トランプ大統領はセカンドキャリアを模索している。The Board of Peaceという国連に代わる新しい枠組みを作りその議長になろうとしている。この恒久ボードメンバー(おそらく国連で言えば常任理事国の椅子)には値札がついておりそれはトランプ氏が決めることができる。
トランプ大統領は明らかに今の国連体制やヨーロッパのエスタブリッシュメントに反発している。このためグリーンランドのアメリカ領有を阻止する国には関税をかけると主張。反発したヨーロッパも対米関税とアメリカ企業の締め出し=貿易バズーカを検討している。
市場は今後欧米の関係が悪化すれば世界経済に大きな影響が出るのではないかと考え始めた。
しかしながら、この問題はベッセント財務長官にある種の希望をもたらしている。仮に金融市場が混乱するとトランプ大統領はベッセント財務長官になんとかしてほしいと言ってくるはずである。そこでベッセント氏はトランプ大統領に「ヨーロッパが米国債を売りに出せば長期金利が上昇し中間選挙で不利になりますよ」と伝えればいい。
また、ベセント氏は、欧州当局が外貨準備として保有する米国債を売却し、米政府の資金調達コストが上昇するとの市場の憶測も否定した。
米財務長官、グリーンランド巡る「ヒステリー」否定 欧州との解決に自信(REUTERS)
トランプ大統領のセカンドキャリアは「アメリカ合衆国大統領としてのキャリアが完遂できる」ことが前提条件になっている。仮に中間選挙で負ければ元も子もなくなってしまうのだ。
つまり、世界秩序はすでに崩壊している。それでもなんとか完全崩壊を免れているのは株式・金融市場がトランプ大統領を実質的に縛っているからなのである。
おそらくトランプ大統領が主催する新しい国連構想はトランプ大統領の構想ではないだろう。これまでの世界秩序を疑問視する人たちに合成によって作られている。だからこそトランプ大統領はウィトコフ特使にガザとウクライナ問題の担当を兼任させていた。つまり構想じたいはかなり早くから存在した可能性が高い。
更に興味深いことにこの問題は日本の選択肢を縛るだろう。現在与野党はどちらも「今の税収では国家予算を支えることができない」という共通認識を持っており、衆議院選挙は政権選択にはなるかもしれないが国政選択にはならない。
この結果市場は「日本の財政は悪化するだろう」と予想。長期金利が上がり始めた。ところが日本の長期金利が上がると主要国の国債が同時に下落しかねない。また日本は安い金利で世界の投資家に資金を供給しており(つまり円安で物価高に苦しむ国民が世界の金融市場を支えている)この前提条件が崩れれば株式市場が大暴落しかねない。そこでベッセント財務長官が日本政府に対して「くれぐれも日本発で問題を起こしてくれるなよ」と厳しめに注文を出している。
さらに別の火種もある。アメリカでは最高裁判所が関税の発表を遅らせた。このためアメリカの金融市場は「最高裁判所が抑止力になってくれないかもしれない」と動揺している。今回のVIXの跳ね上がりは同時多発的なショックの結果と言えそうだ。
米国売りの火の手があがった状態ではいかなる可燃物の持ち込みも禁止される。日本の財政悪化懸念は新しい可燃物の持ち込みに当たる。だからアメリカ合衆国怒っても当然なのである。
与野党が「対立を装おった共犯関係」に陥る中でアメリカの財務大臣の一言が市場の実質的な代表者として日本の政治を縛るという奇妙な構図が生まれている。これは永田町の原理ですべてを説明したがる日本の政治評論家からは出てこない視点だろう。
仮に今回もトランプ大統領が金融市場に負ければ「解放の日」の再来となり株は押し目買いのチャンスということになる。しかしながら実際にトランプ大統領が今回もTACOに転じてくれるかどうかは誰にもわからない。それこそ神のみぞ知るという状況だ。

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