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【進む地方のオール与党化】横浜市長選挙と仙台市長選挙は現職が勝利

6〜9分

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トランプ大統領の失言が見られずしたがってアメリカのニュースにめぼしいものがない。ということで久々に国内ニュースをいくつか見てみた。このニュースは横浜市長選挙と仙台市長選挙について考える。日本の政治は大政翼賛会化しやすいとわかる。

横浜市長選挙と仙台市長選挙でそれぞれ現職が勝利した。ポスト自民党時代の政治の行く末がよくわかる。どちらも非自民系だがオール与党として自民党が組み込まれている。所詮利益分配装置なのでどうしてもこうなる。利害分配に関与できなければ政治家でいられないという事情がある。

麻生政権がリーマン・ショックで揺れるなか千葉市では市長の汚職問題があった。この時に当選したの民主党市議会議員は今は千葉県知事になっている。

新しい千葉市長は自民党を敵に回さず「オール与党体制」を作り上げた。自民党の一部には独自の市長を立てるべきだという意見があったようだが自民党の市議会議員も「寄らば大樹」の現実路線。結果的に今でも「オール与党体制」が維持されており、現在は神輿として便利な総務官僚出身が市長を務めている。

IR誘致問題で揺れた横浜市の自民党も同じような感じだったようだ。一期目でオール与党体制が作られた。自民党は独自候補の擁立を模索したようだがまとまらなかった。ある市議が自民党を離党して立候補したが党内はまとまらず批判も多かったそうである。

一方で仙台市の歴史はもっと複雑である。中村喜四郎氏が建設大臣のときに茨城県、宮城県、仙台市を巻き込んだ汚職事件がおきた。さらに別の市長もタクシー券疑惑(他の人に市長のタクシー券を譲り渡していた)が持ち上がる。通産官僚だった市長は頭を刈って詫びたそうだが市民は納得せずその後も自民党は独自候補を出していないなどとWikipediaにまとまっていた。

しかしながら仙台市でも自民党が利権構造からはじき出されることはなかった。今回の市長選挙も「オール与党」体制が組まれていたそうである。

千葉市・横浜市・仙台市ともに地域の中核で周辺自治体に比べれば権限も強く恵まれた独自税収があるだろう。さらに、そもそも「国の分配」で成り立っているという事情がある。こうなると「みんなで利益を分け合ったほうがトク」という空気になりオール与党体制が作られてしまう。

国政でも同じような欲求はあるのではないかと思う。本来ならば自民党は立憲民主党と馴れ合いながら利益を山分けしたい。しかし国政には地方にはない「財源」と言う問題がある。

日本はアベノミクスで氷漬けにしてきた問題が融解しつつある。誰かになにかの負担を負わせなければ国が成り立たない。そして負担を負わせる人はおそらく恨まれることになる。このため立憲民主党は政権を取りにゆくつもりがない。国民民主党の玉木代表は不信任案提出に慎重な野田佳彦代表を煽るが、おそらく自分が責任を取るつもりもないはずだ。誰がやってもサンタ・クロースになれない。

だが国民も財源問題について考えるつもりはサラサラない。特に若い世代にはその傾向が顕著。結果的に「石破総理の次も期待できない」と考える人が「やりたければ総理の椅子にしがみつけばいいんじゃないの」と冷淡な態度を取っている。

参政党を支持する人達も増えている。TBSの調査では国民民主党を引きはなし自民党についで高い支持を得たそうだ。参政党の主張は要するに「国家はいくらでもフリーランチを生み出せる」というもの。日本人はそれくらい分配型の政治に慣れてしまっている。

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