9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


【速報】石破茂氏は国益を損ないかねないディールをトランプ大統領と結んだ

10〜15分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

9月8日の総裁選前倒しに焦る石破総理は数少ない側近の赤澤経済再生担当大臣をアメリカ合衆国に送り込んだ。すでにお伝えした通りトランプ大統領は訴訟に直面しており最高裁判所のとりなしを期待している。結果的に両者の思惑が合致し日米で関税合意が結ばれた。

日米合意は15%関税をフィックする内容でありこれは日本経済にとってはプラスになるのかもしれない。しかし代わりに石破総理が差し出したものは大きかったのかもしれない。

トランプ大統領はかねてより日本から5500億ドルの投資がありそれを自分が好きに使えると喧伝してきた。さらに投資の利益は9割はアメリカのものになると言っている。

ところが日本政府は9割の利益を取るのは全体のほんの僅かであり残りは民間投資の取りまとめに過ぎないと説明していた。

野村総合研究所の木内登英氏は日米で認識が食い違う投資計画の文書化は極めて危険であると警鐘を鳴らしていた。日付は赤澤大臣訪米が決まった9月4日付のものである。

普通の総理大臣であれば政調会長らが辞任の意思を示しているときに国として大きな約束を控えるべきと考えるだろうが、読売新聞の誤報が示す通り石破総理の周りには現実歪曲空間ができており「自分だけがこの国難を打開できる」と信じ込んでいるようだ。

結果的に次のような表現となった。

Critically, unlike any other agreement in American history, the Government of Japan has agreed to invest $550 billion in the United States. These investments — which will be selected by the United States Government — will generate hundreds of thousands of United States jobs, expand domestic manufacturing, and secure American prosperity for generations.

IMPLEMENTING THE UNITED STATES–JAPAN AGREEMENT

要点をかいつまんで書くと次の通り。

  • (民間ではなく)日本政府が5500億円を投資する
  • 投資内容はすべてアメリカ合衆国が判断できる
  • 投資によってたくさんの仕事が作られる

更にこの文書はどちらかと言えばアメリカ国内に自分たちの正当性を示す文章になっている。「私の判断によれば」アメリカの国益に沿うものになっていると書かれている。

In my judgment, I determine that the following actions are consistent with the national interest of the United States and are necessary and appropriate to address the national emergency declared in Executive Order 14257, as amended, and to reduce or eliminate the threats to national security found in Proclamation 9704, as amended; Proclamation 9705, as amended; Proclamation 9888, as amended; and Proclamation 10962.

IMPLEMENTING THE UNITED STATES–JAPAN AGREEMENT

このため良いように解釈すればトランプ大統領が自己宣伝のために大げさな発表をしているだけであって赤澤大臣がかねてから主張しているような細かい内容がきちんとした文書で取り決められているのかもしれない。

つまり今後次の点が焦点になるのではないか。

まず、党四役が辞意を示し閣僚たちも前倒し総裁選を求める中で、石破氏がどのような手続きで今回のディールを決めたのかが気がかりだ。単独決済であればもはや石破総理・石破総裁の決定とは言えないが、ホワイトハウスの文書は「日本政府が約束した」事になっている。

次に赤澤大臣がこの文書とは別に投資の枠組みに関して(公開できるかどうかは別にして)文書合意を交わしているか。交わしていないとなるとホワイトハウスの発表だけが合意事項ということになってしまう。

なお玉木雄一郎国民民主党代表(自動車産業労働者を代表しているため関税引き下げ歓迎の政治的ポジションを取る必要がある)は関税のフィックスについて評価した上でアメリカが独力で投資先を決められるというステートメントには懸念を感じているようだ。今後国会できちんと内容を精査してほしいところだが、そもそも幹部が辞意を表明している状態で国会の開催が決めるとも思えない。政治空白が生じていることは間違いがないようだ。