石破総理が突然会見を開き退陣を表明した。任期途中の退陣を表明したことで前倒し総裁選が行われる。表向きは関税の道筋がついたから退陣するということになっているが楽屋裏は全部バレている。マスコミは余計なことを聞かず「はいはいそうですか」と送り出していた。学習しない組織自民党はこれでゼロリセットといになり「未来志向」の総裁選が行われる。一般有権者はおそらく大した興味を持っておらず前倒し総裁選を巡っては意見が均衡していた。
石破政権とはなんだったのだろう。
安倍政権下では長い間非主流派として孤立していたがその現実を認めたくなかったため正論を述べていた。これが野党支持者の期待を集め刷新を期待する自民党からの期待も高まった。しかし実際に総理大臣になってみるとやはり従来型の政治家であり特にやりたいこともなかった。一年というそれなりの時間があったが「やりたいことがない」という現実を認めることができず、最後は孤立している現実さえなかったことにしようとした。
石破総理は決して現実に向き合おうとせず周囲に歪曲空間を作り出してきた空疎な政治家だった。
そんな石破総理が突然会見を開き退陣を表明した。菅元総理と小泉進次郎農林水産大臣が前倒し総裁選挙を避けるために説得したものと言われている。もちろんプライドが高い石破総理はアメリカの関税対策に道筋がついたから責任を取って辞めると言っているが一方で党の分裂を防ぐために必要な選択だったとも説明している。要するに本音と建前が交錯する内容。会見の目的は自分のプライドを守ることだった。
もちろん、記者たちは辞めてゆく総理大臣にはさして興味はないため「はいはいそうですか」と総理大臣に優しく接していた。フリーランスの人々は安倍政権以来積み残しになった課題について聞きたかったのだろうが誰一人指名されなかった。
非常に石破総理らしいなと思った「仕込み」もある。日本海新聞が指名された。鳥取県選出の総理大臣として地元にメッセージを送りたかったのだろう。しかしそれでは露骨なえこひいきになってしまうので河北新報に最後を締めさせていた。だが石破総理は司会者にお任せしているからこうなっただけであって自分の意志ではないと言っている。
予定調和的に状況を整え、過去をなかったことにして、今まで通りに分配を続けたい。このあからさまな姿勢が無党派層に見透かされていることが自民党の支持離れにつながっているのだろう。だが石破総理は最後までこうした国民の声に応えることはなく「ゼロリセット」で「未来志向」の総裁選挙が行われる。
次の総裁選挙の軸は小泉進次郎氏と高市早苗氏になると言われている。前回小泉支持に回った斎藤健氏は今回は出馬しない。二階俊博氏が引退しているため小林鷹之氏が出馬を検討しているという。残りは岸田派の林芳正氏と茂木派の茂木敏夫氏だ。未来志向どころか派閥＋菅グループの派閥争いとなる。麻生派は河野太郎氏を支援せず「勝ち馬」に乗ってキングメーカーとしての意地を見せたいところだ。麻生VS森山の対決と面白おかしく書くメディアもある。
ABCとBBCの記事を読んだが、要するに参議院選挙敗北の責任を取らず抵抗を続けていた石破総理がやっと退陣したという趣旨のことが書かれている。ただし野党は一枚岩になれないため自民党に対抗できないとも添えられている。
石破総理は自分の政権こそトランプ大統領の信頼を獲得したと言っているがトランプ大統領は退陣について聞かれ「知らなかった」と答えたそうだ。トランプ大統領は日本を便利なATMとしてしか見ていないのだろう。後には国益と日本の将来を売り渡す投資覚書だけが残った。
Bloombergは石破総理の後継が財政についてどのような意見を持つか注目している。財政再建路線が緩やかになると考えられており円安と長期金利の上昇が予想されているそうだ。とはいえフランスのように与野党対立から予算の策定が難しくなるという事態までは想定されておらず国際的な水準から見れば緊迫度合いは小さい。
総裁選は党員票を入れたいわゆるフルスペックになる。課題が山積する中長い時間をかけて期待感を煽りそのまま予算編成に持ってゆきたいのだろう。だが与野党ともに少数政党であるという現実は変わらない。仮に中途半端に新総理大臣の支持率が上がれば解散総選挙になるが、ここで過半数獲得に失敗すれば時間切れで本予算編成に流れ込むことになってしまうだろう。