おそらく日本ではスルーされることになるのだろうがトランプ大統領が習近平国家主席に丸め込まれたようだ。中国に対する高い関税は実施されず中国からの留学生も受け入れる方針に転じた。MAGAはこの決定に怒っているそうだ。
以前のトランプ大統領は周囲を共和党タカ派に囲まれて中国に対する激しい敵意を隠さなかった。ところがプーチン大統領と直接会談をした時に「自分の任期中には習近平国家主席は台湾に侵攻しない」と宣言している。
この発言の真意は未だに不明。ロシアのプーチン大統領がウクライナ問題に中国を引き入れようとしており「アメリカ・中国・ロシアの大国で新しい世界秩序を構築しよう」とほのめかした可能性もあるのだろうし、トランプ大統領が勝手に大国とのディールに夢中になっている可能性もある。
AP通信によるとトランプ大統領は習近平国家主席との直接会談に意欲を見せているという。
“President Xi would like me to come to China. It’s a very important relationship. As you know, we are taking a lot of money in from China because of the tariffs and different things,” he said. “I hear so many stories about ‘We are not going to allow their students,’ but we are going to allow their students to come in. We are going to allow it. It’s very important — 600,000 students.”
Trump saying 600,000 Chinese students could come to the US draws MAGA backlash
トランプ大統領の気持ちの中でどんな変化が起きているのかはよくわからないがインドを味方に引き入れた上で中国を囲い込みたい共和党タカ派の政治的敗北でありプーチン大統領の政治的勝利と言えそうだ。
トランプ大統領は代わりにインド敵視の姿勢を見せている。和平交渉に応じてくれないプーチン大統領に苛立ちインドに50%関税をかけた。ロシアから石油を輸入しているのが理由だ。トランプ大統領は中国やロシアなどの大国とのディールを避けてインドのような「弱い国」をいじめる傾向がある。
しかしそもそもインドは弱い国ではない。むしろロシアの方が経済的には弱い国なのだがトランプ大統領の政治地図は19’80年代で更新
が止まっている。グローバルサウスは弱い国という認識なのだろう。
モディ首相も今回の出来事を利用してヒンディナショナリズムのもとでの結束を訴えロシアと接近しているそうである。トランプ大統領の場当たり的な外交政策は共和党タカ派が推進してきた開かれたインド太平洋戦略を無効化しつつあるばかりかグローバルサウスの結束を強めつつある。
もちろんアメリカの変質は日本の安全保障環境を大きく変えるものだが、大きな変化に直面した日本は思考停止に陥りこの問題を無視しようとするだろう。
