事実上の思考停止選挙というパワーワードが浮かんでしまいどうしてもこのフレーズを使いたかった。今回のお題目は「参議院選挙の議論の行方」である。
事実上の政権選択選挙と言われていたが議論が迷走している。直面する問題があまりにも大きいため誰もが思考停止に陥っているのではないか。
そんな中で最も語りやすかったのが「日本人が優先されていない」という漠然とした不満だったのではないか。構造よりも比較で物事を判断したいと言う人が多いのかもしれない。
現在「動向調査」を行っている。ブログへのフィードバックは殆ど見られないため読者がどんな傾向を持っているのかがさっぱりわからないからだ。今のところ5人の回答がありリベラル勢力の結集が3となっている。結果についても公開したいのだがやり方を研究中。
さて、本題に戻る。もともと今回の参議院選挙は「給付か減税か」が議論になるはずだった。しかし重要な選挙であるとしたいマスコミは自民党と公明党が参議院でも過半数を割るかもしれないという点に着目し事実上の政権選択選挙というパワーワードを見つけた。
ここまでは読者(視聴者・有権者)不在でアジェンダセッティングが進んだ。
ところが蓋を開けてみると意外なことがわかってきた。国民民主党と参政党が躍進している。特に参政党が注目されているようだ。一部では排外主義的だと言われる。
テレビはなんでそうなるのか?と焦り「右傾化が進んでいるのでは」と警戒感をあらわにする。
テレビ朝日がXの全投稿データを入手し公開している。
この内容は毎日更新されるようだ。参政党についての言及が他の政党を大幅に上回っており、なおかつ外国人問題が突出して語られている。つまりこれだけを見ると日本は大幅に右傾化しているように見える。
YouTubeの6分辺りに細かな内訳がでている。圧倒的に外国人問題が語られており、減税と給付がこれに続いている。リベラル政党が掲げる夫婦別姓や原発問題はランクの下の方にありコメ問題も過去の話題になってしまっている。
西田亮介氏は「言及しているからと言って支持を示すわけではない」うえに「一部の声の大きい人が誇張される傾向がある」と冷静に分析しているが嫌でも日本の参議院選挙はものすごく右傾化しているのではと心配になる。
石破総理はアメリカ合衆国の関税問題について触れ「舐められてたまるか」と絶叫した。その真意を聞かれ日米同盟への過度な依存は危険であるとの認識を示したと発言したそうだ。しかしながら、今回の選挙において安全保障について触れた政党はないという。あまりにも急激に変化が進んでいるために政党も意識を変えることができていない。
当ブログではトランプ政権の発言が迷走していると書いている。トランプ大統領には自由貿易を保護する意識がなく発言や行動にも一貫性がない。
日本の防衛と経済は盤石な日米同盟が基礎になっていると考えると経済政策も安全保障政策も大幅な見直しを迫られているとわかる。戦後日本の基礎だっ日米同盟も国連も今や機能不全は明らかだからだ。
ところが不思議なことに選挙では安全保障に関する提言が一切出てこない。与野党に答えがないということを意味しているだけでなく思考の糸口さえ見いだせないのかもしれない。
次の成長戦略も見出すことが出来ないため与野党は「給付なのか減税なのか」という矮小化した議論に陥っている。マスコミはこれを事実上の政権選択などと煽るが、実際には日本の国柄は戦後80年目で最も大きな変化の時期を迎えていることを考えると「誰が政権を担うか」はさほど大きな問題ではないのかもしれない。
石破総理は給付は1回だけなのかと聞かれ答えなかったそうだ。当然だろう。今回のインフレはアベノミクスの出口であり今後成長なきインフレが続く。成長戦略を提示しないかぎり国民に「あきらめてください」というかいつまでも「物価高対策」のお金配りが必要がある。
我が国を取り巻く環境が激変する中で政治は思考停止に陥りつつある。
そもそも日本人には主権者意識がなく「最後はお上がなんとかしてくれるに違いない」という漠然とした期待がある。仮に何もしてくれない場合には支出を控えるなどして自己防衛するだけで抵抗はしない。なんとなく政治が自分たちの方を向いてくれていないと言う気持ちは持っているがこれを言語化することも出来ない。議論の核になる政治言論はない。
そんな中で現れたのが日本人ファーストだった。これは排外主義として語られることが多いが参政党の憲法草案を見ると国民主権の返納による自由からの逃走を助長しているようだ。難しい問題が多すぎてもう考えたくない。誰かになんとかしてほしいと言う気持ちの現われだ。
環境が大きく変わりすぎてどうしていいかわからない中ででてきたのが「外国人問題」だったのかもしれない。日本の政治に関われるのは日本国民だけなのでこの問題だけは利害対立が起きない。ただ仮想敵がいないとまとまれないため「外国人」がでてきた。しかしそもそも「外国人」と言ってもいろいろな外国人がいる。
その意味ではこの問題が本当に投票行動に反映されるのかに注目が集まる。参政党の憲法草案は日米同盟の否定を含む戦前回帰だが今の有権者に外国の影響を排斥してまでも自分たちだけでやってゆく覚悟があるとは思えない。
