トランプ大統領がウクライナ問題について重大なアナウンスをするぞ!と予告していた。おそらくロシアとの交渉に行き詰まり武器を供与するのだろうと思われていたのだが、案の定そうなった。トランプ大統領と相性がいいとされるNATOルッテ事務総長はホワイトハウスでこの「重大発表」にお付き合いした。
おおよその内容はABCニュースからお伝えする。トランプ大統領はNATOのルッテ事務総長を招きウクライナにアメリカの素晴らしい武器を売却すると表明した。費用はすべてヨーロッパ持ちでアメリカは負担しない事になっている。トランプ大統領によればこれはビジネスだ。
ただし会談は非公式であり実際にどんな約束があったのかはわかっていない。トランプ大統領はパトリオットミサイルを送るとの認識を示したがルッテ事務総長は「他にも色々送りますよ」と付け加えている。ルッテ氏はトランプ大統領のお守りとして十分に役割を果たしているようである。
さらに、トランプ大統領はロシアに100%の関税をかけると脅している。記者たちに「何を意味するかわかりますよね?」と聞いたそうだが、さっぱりわからない。そもそもアメリカと取引をしている国に課税をかけても意味はなさそうだ。
ただ、Bloombergによると上院超党派の間にロシアから石油とガスを買った国には500%の懲罰関税をかける可能性が出ている。これはおそらくある程度の効果があるのではないかと思う。ただ関税を負担するのはアメリカ国民だ。
日本の関税問題で「トランプ大統領の発言に一喜一憂すべきではない」と書いた。ただ根拠がないと感じた人はいるのではないか。
今回のライブアップデートでは「トランプ大統領はEUとの貿易交渉に前向きだとの見通しを示した」とする項目がある。言っていることがメチャクチャだ。まず通告書を送った時点で合意は成立していると言っている。ただ相手が別の合意を望んでいるので交渉は続けるとも付け加えている。意味が分かる人がいたら教えてほしい。おそらく本人も何がなんだかわからなくなっているはずだ。
トランプ政権の閣僚の第一目標はトランプ大統領に褒めてもらえる材料を集めることなので戦略的一貫性がない。つまりそもそも成果が出るはずもない政権なのである。対日関税交渉では「閣僚どうしの手柄争いに巻き込まれているのでは」とする観測も出ている。日本にできることはルッテ事務総長のように体面をかなぐり捨ててトランプ大統領にすり寄ることなのだが、おそらく「なめられてたまるか」の石破総理は性格的に交渉はできないだろう。
読売新聞はプーチン政権はトランプ氏懐柔に見切りをつけたと伝えている。このところウクライナに多数の無人機を飛ばして攻撃を加えているとのことだ。結果的にウクライナ情勢はトランプ大統領に振り回されただけで何らめぼしい成果はでなかった。
