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【お願いだ】石破総理に早期退陣を求める声が各方面から

8〜13分

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石破総理が居座り続投宣言を出したことで波紋が広がっている。特に焦りをつのらせているのが保守系メディアと自民党関係者なのだがそれぞれ理由が微妙に違っているのが興味深い。

最もわかりやすいのが産経新聞だ。おそらく彼らは安倍路線の復活を求めている。石破総理では産経新聞を読んでいたような人たちが参政党に流れてしまうと考えているのではないか。高市早苗氏の動向などを追いつつ連日「石破やめろ」キャンペーンを行っている。記事を一つに絞り込むのが難しいほどだ。

読売新聞が世論調査を行った。政権支持率は史上最低で退陣を求める声も大きかったと伝えている。これが左派的傾向が強い共同通信とほぼ同じような内容だった。日米安保路線を死守したい読売新聞は保守の一部が得体のしれない参政党に流れていることに危機感をつのらせているのかもしれない。今回はリベラル系メディア(朝日や東京)だけではなく読売新聞も石破総理を支援していない。

今回の惨敗を受けて地方組織からは「石破やめろ」の声が上がり始めたと共同通信がまとめている署名運動まで行われているとTBSが伝えている。自民党が信任を失うことで既得権構造が崩壊することを恐れているのかもしれない。

一方で国会議員たちは別のことを恐れている。議員有志が石破総理の退陣を求めた。旧石破グループのメンバーも会談に参加したそうだ。時事通信は野党は減税要求を突きつけ財源を自民党に押し付けるのではないかとの議員たちの懸念を伝えている。

先日「泥舟ならば何を乗せても後は沈むだけ」と書いた。沈む船なら問題をたくさん乗せて沈めたほうがトクだ。今回の問題は財源だ。であれば政権を渡して財源問題を野党に任せたほうがいいのではないかと言う立場。火中の栗を拾う人はいない。

石破総理は総理大臣経験者と面談するのではないかと言われているそうだ。しかし麻生太郎氏は石破おろしに恨みを持っている。一方で関税交渉では表に出てこなかった交渉の達人茂木敏充氏と麻生太郎氏が会談を行っている。どちらも現在非主流派で石破政権とは距離をおいている。

ではなぜこんな事になったのか。Quoraで質問があったので考えてみた。

  • もともと自民党を支えてきた分配構造はバブル崩壊とともに消滅した。
  • これを延命したのが「自民党をぶっ潰す」という小泉政権だった。
  • さらに民主党政権を挟んで安倍政権が事実上の財政ファイナンス(アベノミクス)を行い問題を先延ばしした。と同時に「皆さんは何も悪くない」として複雑な問題を考えたくない「お気持ち優先」の人々を惹きつけた。
  • しかしながら清和会は崩壊し「お気持ち優先」の人たちを惹きつけられなくなった。さらに先延ばしにしてきた経済問題が一気に動き出した。

つまり、そもそも自民党の賞味期限はすでに終わっていたが問題を先送りしてきた。そしてその時間を浪費してきたのが自民党政権ということになる。

これもBloombergに記事が出ている。最後の「経済問題が一気に動いた」のパートがより専門的に解説されている。

これまで経済が動かないこと(Bloombergの記事は氷河期と表現)を前提にして氷漬けにしてきた問題が一つづつ動き出したということになる。結果的に日本のインフレ率はいまやアメリカ合衆国を上回っているという。

参政党が可視化した「お気持ち極右」も氷漬けになってきた問題の一つである。日本は遅れて先進国の流れに追いついたのだ。

冷静に考えると石破総理が今辞めてもこうした問題を解決することができなければ次の総理大臣(それが自民党総裁とは限らないわけだが)も短命に終わる可能性が極めて高いということになる。

金融市場は政権の不安定化がひとまず回避されたことで落ち着きを取り戻しているが問題は氷漬けになっているだけでその氷はどんどんと溶けてきている状態。さらにアメリカ合衆国がすでに日米同盟を重要視していないと言う全く別な問題も浮上している。

政局が流動化すれば金融市場はそれなりに混乱するのではないか。

アベノミクスについて見ているときには「そうは言ってもなにか出口は考えているんだろうなあ」と思っていた。だが、実はそんなものはなかった。さらにそもそも問題がどこにあるのかすら党内で取りまとめが行われおらずまるで巣を襲われたアリがパニックを起こすような状況になっている。

こうした中で日本人が突然冷静に議論を始めるとも思いにくい。

すでに「お気持ち」を優先する参政党を支持した人たちが12%を超えている。日本はこの先根性で南極を突破しようとする一億火の玉路線に傾斜してゆくのかもしれないなあとうっすらとした恐怖を感じる。つまり玉砕こそが出口戦略ということになる。この予想はできれば外れてほしいものだ。

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