次第に状況が第二次世界大戦前夜に似てきた。第一次世界大戦ではドイツが多額の賠償金を課せられ次第に失うものがない「無敵の人」状態になった。ヨーロッパは度重なる挑発をやり過ごしたが無敵の人は次第に凶悪化しヨーロッパ全体が戦火に見舞われている。今回はロシアがその役回りを果たすことになりそうだ。ポーランド領内に領空侵犯した。NATOを挑発し出方を伺っているのだろう。
ヨーロッパは「戦後にヨーロッパの有志連合がウクライナに地上部隊を送る」と約束している。仮にこれが実現すればモスクワの目と鼻の先にヨーロッパの軍隊が進駐することになる。ロシアはヨーロッパの本気度を確認したい。
そんな中、ロシアのドローンがポーランド領内に領空侵犯した。ポーランドはNATO加盟国。ポーランドはドローンを撃墜しNATOに対して第4の発動要請を出した。緊急事態による参集を求めたのである。仮にここでロシアの攻撃があったと解釈されれば第5条が発動しロシアとNATOは戦争状態に突入する。
実際に開かれた会合で、ルッテ事務総長は「意図的かそうでないかは別にして」と発言している。意図的と宣言してしまうとでは具体的にどうすべきなのかという議論が必要になる。
今回の動きはイスラエルのカタール空爆と対を成している。イスラエルはアメリカの同盟国で米軍基地を提供しているカタール領内に空爆を実施している。トランプ大統領はユダヤ系出資者と同盟国カタールの板挟みになっており身動きが取れずイスラエルを批判できていない。ホワイトハウスは1日でステートメントを出すと宣言していたが、ステートメントは出ていない。また国連安保理の開催も延期されている。
ロシアとイスラエルの軍事行動により「やったもの勝ち」の世界が作られつつある。仮にNATOが思い切ったステートメントを出して何らかの軍事行動を取らなければ、ロシアは「ウクライナに攻撃を重ねてもアメリカ合衆国を含むNATOは手を出してこない」と解釈するだろうし、ヨーロッパは実際にそう考えている可能性が高い。
