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「機密文書持ち出し」 ボルトン元補佐官がFBIの家宅捜索を受ける

4〜6分

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ボルトン元補佐官が機密文書持ち出しの疑いでFBIから家宅捜索を受けた。回顧録執筆の報復とみられるがトランプ大統領は関与を否定している。FBIのパテル長官は「誰も法律の上には立てない」と主張している。しかし大統領も機密文書を持ち出しているがお咎めなしに終わっていることを考え合わせると皮肉以外のなにものでもない。

ではこの例外措置でアメリカ合衆国は何を失いつつあるのか。それは法律システム全般に対する信頼である。

ボルトン元補佐官は外交タカ派でもともとはトランプ大統領の熱心な支持者だった。しかしトランプ大統領の移り気な性格に次第に苛立ちを募らせることになり最終的に暴露本を執筆した。

今回のFBIの捜索はその腹いせと見られる。

ABCニュースはFBIはボルト氏がどんな文書を持っているのかを明らかにしていないと書いている。本来家宅捜索のためには明確な疑いが必要だがおそらくFBIの捜索はその要件を満たしていない。いずれにせよトランプ大統領は今回の捜索について何も知らないし興味もないとうそぶいている。部下が勝手にやったことだから自分に説明責任はないというわけだ。

トランプ大統領もマールアラーゴに機密文書を所持していた。ところが最高裁判所は「大統領は執務であればほぼなんでもやっていい」とする免責特権を認めたため訴えは退けられている。

つまりパテル長官の主張は誰も法律の上には立てない(ただし大統領を除いては)ということになってしまう。

大統領は民主主義のもとで強い権力を許されているだけの存在だが今のアメリカ合衆国では法律の上に立つ絶対君主のように理解されることがある。

ただ、冷静に考えると意外な事に気がつく。

本来ならFBIの捜索が入ったということはなにか重大なことをしでかしたからであると理解されるはずだ。ところがボルトン氏の場合明らかにトランプ政権に報復されている。つまりアメリカ国民が法治を絶対的なものであるとみなさなくなっているということを意味する。民主主義も法治主義も壊れるときは実に簡単に壊れてしまうのである。