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「戦争でもしない限り止められない」 イランの核協議体制が崩壊

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やっぱりこうなるだろうなと思っていたので特に気にしていなかったのだが、時事通信が「対イラン核合意瓦解」という記事を書いている。国連が主導する体制が急激に崩壊しつつあることの一つの現われだろう。

多国間協議を嫌うトランプ大統領は第一期目にイランとの核合意から離脱していた。さらにイスラエルが一方的にイラン攻撃に踏み切ったことでイランの態度が硬化していた。

イギリス、フランス、ドイツは圧力を高めて「アメリカとの対話に復帰するように」と求めたがイランは「自分たちは核兵器開発を目指しているわけではない」と反論している。日本でイランに近い人達は核技術の平和利用は必ずしも嘘ではないのではないかと指摘する人が多いが、欧米はイランを信用していない。さらにヨーロッパはトランプ大統領に振り回されつつも、結局アメリカの圧力に期待している。

イギリス、フランス、ドイツが期限を切りイランが応じなかったことで制裁が発動し、時事通信が対イラン制裁復活 核合意瓦解、歯止め失う―不拡散体制が危機と記述するような事態に陥った。

この件について時事通信は識者にコメントを求めている。これがなかなか強烈なコメントだった。戦争でもしない限り制裁は解除されないだろうと書いている。つまりもう力でねじ伏せない限りイランの核開発を欧米が制御することはできないというわけだ。

今回発動された制裁は1991年にイラクに科されたのと同等で、安保理が科せる最大規模の措置。軍事行動の一歩手前だ。解除は困難で、イランの体制を変えるための戦争をしない限り、半永久的に続く。制裁破りの監視にも膨大な手間がかかる上、ほとんど効果はないだろう。

国連安保理が一枚岩になってくれればいいのだが、欧米が制裁を主導しても中国やロシアは応じないだろう。両者は今や鏡のこちら側とあちら側の別々の世界に住んでいる。

欧米はウクライナの戦争を「侵略戦争」と見ているが、ロシアはそもそもウクライナ民族などいないという立場に立っており「欧米こそがロシアを侵略しようとしている」と言っている。国連総会でラブロフ外務大臣は欧米の侵略に断固反対すると述べたそうだ。我々西側諸国から見ればロシアは鏡の向こう側にある国なのだ。

今後我々は様々な形で相互不信から生まれるコストを支払うことになる。