トランプ大統領の誕生日に合わせた軍事パレードにはいろいろな評価が出ている。パレードを通じてアメリカ合衆国が分断されたという報道もあれば、パレードも実は空席が目立っていたというような報道も出ている。
しかしながら政権幹部にとっては「アメリカ・ファーストを貫くことでトランプ大統領の権威はより一層高まりますよ」という政治宣伝になっている。多額の金がかかったが政治宣伝は今のところ成功しつつある。65億円かかったそうだが税金は所詮は他人の金だ。
政権幹部がトランプ大統領の歓心を買い続けるためにはそれなりの出費が必要になり、それは結局アメリカの納税者の負担になる。
トランプ大統領の生誕を祝う軍事パレードには4500万ドルが必要だった。日本円でいくらになるのだろうか?などと思ったのだが65億円だったそうだ。
ヘグセス国防長官にしてみれば安い買い物だっただろう。所詮は税金(他人の金)だ。トランプ大統領の隣に座りカメラにサムズアップして見せる余裕も見せていた。ヘグセス国防長官はシグナルゲート事件で情報の扱い方を巡って大きな失点があったが結果的に放逐されたのは主戦論者のマイク・ウォルツ氏だった。
一方で外交懐疑派・対イラン強硬派のルビオ国務長官は大統領から離れた場所でどこか浮かない表情だった。直後には「イスラエルの攻撃にアメリカ合衆国は関与していない」とのステートメントを発出している。ルビオ国務長官が「イラン強硬派」だったと考えると「関与を積極的に打ち出すべきではないか」とも思える。かなり複雑な議論が交わされていたことは間違いがなさそうだ。自分の立場を偽装施政権に残るためにはいろいろな苦労があるのだろう。
だが実際に外交を取り仕切るのはルビオ国務長官である。
この「大統領の心さえ維持できればいくらお金を出しても構わない」という姿勢は移民追放運動にも現れている。トランプ大統領は民主党地域で重点的にICEの活動を活発化させるべきだと主張している。今回のロスアンゼルス暴動において民主党つぶしに大きな効果があると学んだのだろう。
そもそもアメリカ第一主義とは何なのだろうか。
有権者は連邦政府は「アメリカ人の利益のために税金を振り向けるべきである」んべきであると望んでいる。このため外国から軍隊を引き上げてアメリカ人の治安を向上させるために予算を分配すべきだと考える人が多いのだ。
ところが実際にはそうなっていない。
ICE’s cash crisis deepens amid immigration crackdown(Axios)
ICEはトランプ大統領のペットプロジェクトなので監査が効きにくい。そもそも割り当てられている人員の割に摘発目標が高すぎる。結果的に資金を大量に消費しており期末(9月末)までに資金がショートする可能性が高まっているとAxiosは指摘する。
資金がショートしたからと行って議会の支援が得られるわけではない。このためAxiosは他のプロジェクトを中断しICEに資金を振り向けるのではないかとしている。
トランプ大統領の支持者たちは「税金は自分たちのために優先して使ってほしい」と考えている。ところが実際にトランプ大統領の興味を引き付けておくためには湯水のように税金を消費する必要がある。結果的にアメリカ合衆国の納税者たちのためにお金が使われることはなく却って彼らを苦しめる結果になりそうだ。
すでにトランプ大統領の予算案は富裕層を優先し低所得者に厳しいものになることが予想されているが、支持者たちはこうした報道には余り耳を傾けない。反トランプのたわごとだと考えているのだろう。